日本維新の会の勢いが止まらない。馬場伸幸・代表体制が発足してから1年、直近の世論調査(8月28日付日経新聞)で次期衆院選の投票先に維新を選んだ人は15%。立憲民主党(9%)を上回り、野党第一党の座も近い。自民党とも立憲とも違う“第三極”を担う維新の最大の売りは「身を切る改革」と「透明化」。だが、それがブーメランとして突き刺さる事実が判明した。
格安の宿舎も自己負担ゼロ
国会議員の「第2の給料」と呼ばれるのが文書通信交通滞在費(文通費。現在は調査研究広報滞在費に改称)だ。
これは議員歳費(給料)とは別に、国民の税金から毎月100万円が議員の個人口座に振り込まれ、税務申告は不要。政治資金と違って使途を公表する義務もない。年間1200万円もの非課税の“つかみガネ”は議員特権の最たるものとして批判されてきた。
前回の総選挙(2021年10月31日投開票)の後も、初当選の議員たちに10月分の文通費が満額支給されたことから「在職わずか1日で100万円」と国民の怒りを呼んだことは記憶に新しい。
国会では昨年、この悪評高い文通費の名称を変更し、次の選挙後から日割り支給を可能にする法改正を行なったが、使途公表の義務化は見送られたため、現在もブラックボックスのままだ。
だが、文通費見直しに消極的な政党が多い中で、「使途公表」「未使用金の国庫返還」を主張する日本維新の会は、2015年から独自に党の公式ホームページで所属議員全員の文通費の使途を領収証を添付して公表している。
維新の自主的情報公開によって、ブラックボックスだった中身が国民に明らかになってきた。
議員たちは、このカネを何に使っているのか。本誌・週刊ポストは昨年1月以降に公表された維新の議員全員の文通費を分析した。
まず議員宿舎の家賃だ。地方選出で東京に自宅がない国会議員は都心の議員宿舎に格安で入居できる。国会に近い衆院赤坂議員宿舎は3LDK(約82平米)で家賃月額12万4652円と「同グレードの民間相場の10分の1」(不動産業者)と言われる。
大阪選出の馬場代表はその赤坂宿舎、昨年7月の参院選で維新の看板候補として当選した歌手の中条きよし氏(比例代表)は参院清水谷宿舎(家賃10万9239円)に入居。2人をはじめ維新の多くの議員が議員宿舎の家賃を文通費から支払っていた。政治アナリストの伊藤惇夫氏が指摘する。
「先進諸国で議員宿舎を完備している国はほとんどない。米国の国会議員は、自分でワシントンにアパートを探して住んでいます。一方、日本の議員宿舎は税金で家賃が格安になっているのに、その家賃まで税金が原資の文通費で払えば自己負担ゼロ。税引き後の給料から家賃を払っている国民から見ると納得できないのでは」