兵庫県議を経て代議士となった池畑浩太朗氏(衆院比例近畿ブロック)は2022年4月に文通費から高級紳士用品専門店に14万1900円の支出がある。領収証の但し書きは「商品代」で何を買ったかわからないが、領収証を貼った台紙に、「荷物移動用カバンケース」と内容が手書きされていた。翌5月には但し書きのない3万6300円の領収証が添付され、やはり、手書きで「作業用安全ぐつ」との説明がある。
「当時の会計責任者がいないのですが、カバンは作業ミスで(領収証が)紛れて入ってしまったと推察されます。本来であれば計上すべきではなかったものと思われます。安全靴は安くはありませんが、普通の革靴が履けない視察やポスター貼りなどの時に本人が使用しています」(池畑事務所)
これらの議員は全員当選1~2回の新人だ。
505万円の“余ったカネ”
公表された維新議員の文通費には毎月の収支と残高が記載されている。馬場代表をはじめ、松野氏、柳ヶ瀬裕文・総務会長など残高が赤字の議員も多いが、その中で断トツの残高があるのが中条氏だ。昨年7月の当選以来、毎月文通費を使い切れず、今年3月末の残金は505万6502円。9か月間の総支給額900万円の半分以上が余っている。
余ったカネは議員の“へそくり”になるのか。中条事務所はこう説明する。
「調査研究広報滞在費(文通費)は3か月ごとに使途を党に提出してチェックを受け、繰越額は党に渡す決まりです。昨年分の繰越金はすでに党に渡しています」
残金を議員のポケットマネーにできない仕組みがあるようだ。
維新の党本部に残余金の使途を聞くと「党に寄付をされたものは党の会計に入金及び党で管理され、政党の運営及び政治活動に使っている」とのことだった。
文通費の使途を公表すれば当然、国民の厳しいチェックを受ける。自主公表している維新の議員でさえこれほど疑問の支出があるのだから、法改正での公表義務化を頑なに拒否した自民党と公明党の議員たちは文通費をもっと好き放題に使っている疑いが濃厚だ。
前出の政治アナリスト・伊藤氏が語る。
「国会議員は国から歳費と政党助成金をもらったうえに、寄附、パーティーなどで政治資金を集めている。維新の文通費報告書を見ると、文通費でなければならない支出はほとんど見受けられない。それは税金からグレーゾーンの文通費まで支給する必要はないことを示している」
文通費の年間総額は約86億円。税金の無駄使いそのものだとわかった。
※週刊ポスト2023年9月15・22日号