勢いのある宮城野部屋の十両力士たちに待ったを掛けられるとすれば、朝紅龍、高橋、大の里という新十両となった日体大トリオだろう。朝紅龍は高砂部屋だが、他の2人は元横綱・稀勢の里が率いる二所ノ関部屋の力士である。担当記者が言う。
「将来の理事長候補とされる白鵬と稀勢の里。白鵬が育成よりスカウトに重きを置くことに批判的な親方が多いが、自身はたたき上げの稀勢の里も親方としては同じ方向性ではないかという批判も出てきた。ただし、二所ノ関部屋に日体大OBが多く所属(高橋、嘉陽、大の里、友風、宮城、和氣の里)しているが、稀勢の里に憧れて入門した大の里以外は、部屋付き親方の中村親方(元関脇・嘉風)の内弟子のような立ち位置。高橋も序ノ口からスタートした力士で、7場所連続大勝ちして十両に昇進している。白鵬の路線とは明らかに違う。
二所ノ関一門の大きな看板を背負い、稀勢の里が一門の期待を集めているのは間違いない。人望も厚く、一門内では白鵬の理事当選を阻止するために稀勢の里を理事に擁立する動きもあるという」
土俵上でも土俵の外でも、白鵬vs稀勢の里の戦いに注目が集まっていきそうだ。
※週刊ポスト2023年9月15・22日号