スロージョギング理想の走り方のポイントを解説
「レースに出ると、誰でも高揚感でスタート直後はオーバーペースになってしまうもの。まわりの速度に巻き込まれず、自分の心地よい“ペース”を維持するようにしてください。そして、履き慣れたシューズで臨むこと。クッション性はあってよいですが、厚底シューズはやめましょう」
アップダウンのあるコースなら「上りは歩く」と決めておくのも作戦のひとつ。これで体力を温存できる。
「水分補給は大事ですが、摂りすぎも問題です。血液中のナトリウム濃度が下がり、頭痛や嘔吐が起きることもあるので、軽く口に含む程度にしましょう。
私の初マラソンは20年前ですが、いまでもゴールしたときの達成感を鮮明に覚えています。初めてのかたは、まずは出場レースを決めて楽しくトレーニングし、レース当日は遠足に行くような気持ちで楽しんで走っていただきたいですね」
200m走れなかった私がフルマラソンを完走するまで
実際にスロージョギングを実践してフルマラソンを乾燥したというのは、N・Aさん(67才)だ。自己ベスト3時間46分34秒(60才時)というN・Aさんが自身の体験を明かす。
「フルマラソン初完走は53才の頃。肩こりや頭痛に悩まされていたときに田中教授のスロージョギング講座を知り、『運動が苦手な私でもできるかも』と受講しました。
走り始めの距離は200m程度。フォアフットの感覚がつかめず爪を痛めたこともありましたが、徐々に慣れ、3か月後には10km走れるまでに。体調もよくなり、走ることが純粋に楽しくなりました。すると大会に出てみたいと思うようになり、選んだレースが『いぶすき菜の花マラソン(鹿児島県)』。『温泉があって楽しそう』という単純な理由です(笑い)。
見上げた先の坂道の角度や人波にゾッとしましたが、一歩ずつ無心で進むうち、気づいたら坂のてっぺんに。『苦しくてもいつかは終わる』と開き直れて無事完走。タイムは6時間35分02秒でした。完走できた喜びとともに、沿道で応援してくれたかたがたの顔が思い出され、涙が出てきました。
以来14年。走るたびにタイムが縮まる楽しみを知り、国内外の大会参加も40回を数えました。大会に出る理由は、見知らぬ土地の空気を感じたいから。そして何より、沿道の応援がうれしいからでしょうか。マラソンで得た経験は、私の財産です」
【プロフィール】
スロージョギング協会理事・佐藤紀子さん/健康運動指導士。スロージョギングの考案者・田中宏暁氏のもとでスロージョギングを学んだ後、全国各地で普及活動に取り組んでいる。現在、福岡大学大学院博士課程で、スロージョギングに関する研究を行っている。フルマラソンの自己ベストは2時間38分50秒。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2023年9月21日号