“ニコニコペース”が完走のカギ
スロージョギングを身近なものにするには、日常生活に取り入れることだ。
「朝10分早起きして朝食前に走ってみましょう。早朝の空腹時に走れば、脂肪燃焼も促進されます。スロージョギングは、それ自体がウオーミングアップになるので、準備運動も不要です。
外に出たくないときは、室内で行えるのも魅力です。6歩走り、3歩かけて折り返す『スロージョギング&ターン』や、室内移動や家事の最中に取り入れるだけで、立派なトレーニングになりますよ」(佐藤さん・以下同)
川中さんが教えてくれたLTを、スロージョギングでは「ニコニコペース」と呼んでいる。これを身につけることで、完走がぐっと現実的になるそうだ。
「最初は1歩あたり30cmくらいの歩幅で、ゆっくり歩くようなペース(時速3〜5km)から始めますが、慣れてくると、少し歩幅が広がってくるはずです。この時点で、すでに走れる距離が延びています。
そして、レベル2で自分のニコニコペースを見つけることができたら、快適なペースで『どこまでも走れそう』と実感できると思います。
その感覚で走る時間を延ばしていけば、最初は時速3kmだったニコニコペースが、3〜6か月後には6〜8kmくらいに延びているはず。ここまでくれば、フルマラソン完走も見えてきます」
1秒3歩のリズムがレースにも役立つ
走る速度はゆっくりでも、推奨リズムは1分間に180歩以上。1秒間に3歩は、やってみるとけっこう速い。
「これはおのずとフォアフットの着地になる速さで、1分間に180〜200歩で走るトップアスリート並みのリズムです。
田中教授は、スロージョギングであっても高い技術を身につけるべきだと、速いリズムにこだわりを持って指導されていました。
それに、リズムを身につけておくと、フルマラソンでキツくなってきたときもペースを維持しやすくなります。歩幅は狭くなってもしっかりリズムを刻めていれば、大幅なペースダウンになりません。
テニスやゴルフでは、プロとアマとの実力は雲泥の差ですが、走ることは人間が生まれながらに持っている本能ですから、両者ともそれほどスキルに開きがないということです」
またまた気が早いが、レース時の注意事項を聞くと……。