ルミちゃんは付き合って間もない金ちゃん相手に一歩も引かない。実は告白をしたのもルミちゃんだった
そもそも妙齢の女性って、自分のジョギング姿を好きな男性には見せたくない人が多いと思うんですよ。勝負服じゃないし汗でメイクも落ちるし。でもルミちゃんは、交際当初から金ちゃんとジョギングしていて、心を許しているんですね。
この2人を見ていると、10年くらい前、夫と出会った頃のことを思い出しました。私の夫も、金ちゃんみたいにちょっとボーッとしていてお人好しなタイプ。私たちもお互いに最初から素を見せられる関係でした。
「こんなときもあったな~。ルミちゃんはいまが素敵な時期なんだな……」
と、読みながら、思わず遠い目になりました(笑い)。
でも何より自分を重ね合わせたのは、冬乃さんの回想シーンです。冬乃さんは若い頃、恐らくモーレツ会社員の夫が残業続きで帰りが遅く、夜は大抵ひとりだった。そんなとき、隣に住むえりこさんが食事に誘ってくれたのをきっかけに、そこから50年、友情が続いている。私もいままさに近所に住むママ友のありがたさを感じているので、彼女と50年後も食事したり旅行したりする関係になれたらいいなと思いました。
冬乃さんはその後、最愛の伴侶に先立たれ、同じく妻を亡くしたシンちゃんと出会います。シンちゃんは亡き妻に似た冬乃さんに惹かれ、息子に冬乃さんへの思いを打ち明けます。私の両親のどちらかも、今後こうなるのかな。
私がもし、両親のどちらかを亡くし、ひとり残された父か母から、「好きな人がいる」と打ち明けられたらどう反応するかな……。私にとっては、すべてがリアルで、いろんなことを考えさせられて、なのにほっこりした気持ちになる最高の漫画でした。
【プロフィール】
江上敬子(えのうえ・けいこ)/1984年生まれ。お笑いコンビ「ニッチェ」のボケ担当。プライベートでは3才男児と0才女児を育てる母。料理とお酒と漫画収集が趣味。著書に『ニッチェ江上敬子 ダンナやせごはん かさ増し! レンチン! 缶タン!編』など。
※女性セブン2023年9月28日号