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増加するセルフレジと高齢者の諸問題 「あんなにスキャンが難しいとは思わなかった」の声も

コンビニのセルフレジ(イメージ、時事通信フォト)

コンビニのセルフレジ(イメージ、時事通信フォト)

 商品の読み取りから精算まで客が自分で行う「セルフレジ」が日本のスーパーマーケットに初登場したのは2003年のことだったという。2010年代になると、各社で商品スキャンのみ店員がする「セミセルフレジ」の導入がすすみ、2022年にスーパーマーケットでセルフレジ設置率は25.2%、セミセルフレジ設置率は75.1%に至り、今後も増加見込みだという(一般社団法人全国スーパーマーケット協会「2022年スーパーマーケット年次統計調査報告書」調べ)。人々の暮らしに現れる社会の変化を記録しつづける日野百草氏が、セルフレジやセミセルフレジをめぐる人々の戸惑いについてレポートする。

 * * *
「言い方が悪いかもしれませんが、満足に使えないのにセルフレジを使う人にはイライラしますね。遅いし、いちいち店員を呼ぶし、大人しく有人レジに並べばいいと思います」

 都内で一人暮らしをする知人の40代サラリーマンは苦笑い。スーパーマーケットやコンビニエンスストアのセルフレジ、セミセルフはコロナ禍をきっかけに一気に増えたように思う。しかしまだ過渡期だな、と思うこともある。

「ああいうものにも慣れというか、年齢とかいろいろ、向き不向きがあるのだなと思います。遅い人は本当に遅いし、いつまで経ってもレジで四苦八苦という人もいます。忙しいときなど正直なところ、迷惑です」

 あくまで彼の私見だが、確かに人によってさまざま、一部のコンビニなどでセルフレジに行列ができてしまう光景は何度も見かける。列に並ぶ中には不寛容な態度をとる人もいるし、ネット界隈でもこうした愚痴の書き込みは多く見られる。逆にセルフレジがガラガラで有人レジばかりに列ができるケースもある。これはとくにスーパーに多いように感じる。

 本稿、いわゆる「フルセルフレジ」をセルフレジとし、支払いだけ自分でするパターンは「セミセルフ」とする。また本旨ではない業界用語や各チェーン、店舗独自の用語や名称などは適宜置き換えている。

なかなかバーコードに「ピッピ」してくれない

 筆者が趣味の会で接する高齢の方々に聞いてみたが、彼らは「セルフレジは苦手」という人が大半だった。それぞれの言い分。

「後ろでたくさん並ばれて、あせっちゃうことはあります。とくに買い物が多いと余計に間違っちゃったりして」

「選択肢が多すぎてわからないんだよ。私は最初から大人しく店員さんのいるレジに並ぶよ。駅とかにある無人レジだけの店は入らないね」

「あの手で持って『ピッピ』ってするやつ、あれがなかなかバーコードに『ピッピ』してくれないのよ。バーコードがどこかわかんない商品とかもあるし、後ろに並ばれるとやっぱりあせるわね」

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