2000年、千葉県幕張のスーパーマーケットでレジに並ぶ客ら。当時は日本ではまだセルフレジが導入されていなかった(AFP=時事)

2000年、千葉県幕張のスーパーマーケットでレジに並ぶ客ら。当時は日本ではまだセルフレジが導入されていなかった(AFP=時事)

文句の理由を探してるんですよ

 都内のコンビニオーナーは「セミセルフが一番だよ」と語る。

「レジは慣れだからね、慣れた店員が会計して、支払いだけお客様ご自身で、というのが一番いいと思うよ。ユニクロみたいなカゴの中を全部スキャンしてポンと会計できたら人件費も浮くし最高だけど、さすがにまだ無理だ」

 いずれ解決する技術なのだろうが、現状ではスーパーやコンビニだとすべてをカゴに入れてポン、とはいかない。

「でもセルフレジを使うのが難しいとか、苦手という人がいるのは仕方がないよね。そういうことに厳しい人というか、すぐ他人を罵る人って普通に見かけるようになったね、ちゃんとしたスーツ着た兄ちゃんが戸惑ってる年寄りに文句とか、みっともないと思うよ。俺も年寄りだから言うわけじゃないけどね。レジに限った話じゃないけどさ」

 こうした「できない人がおかしい」「あんなの誰でもできる」と、自分ができる基準で物を言いがちな人はいる。とはいえ、できない人もいるしスーパーやコンビニのような誰もが使う前提のお店では本当に「仕方のない話」だと思う。先の高齢者の中にも「申し訳ないと思っているのだけれど」として、こうした心ない出来事も打ち明けてくれた。

「セルフレジを使っていたら『遅えよ、ババアはあっち(有人レジ)行け』って男性から言われたことがあります。怖かったですよ。セルフレジ、めったに使わないのですけどね、でも使わなきゃいけないときだってありますからね」

 先の元スーパー店員にこうした話も尋ねてみると「私のときも似たようなことがありました」とのこと。

「高齢者にだけじゃなく、そういう人は店員にだって文句が言えそうとみたら、些細なことを見つけては文句言ってきます。言いたい理由というか、文句の理由を探してる感じですよ。プレッシャーかけて憂さ晴らししてるんです。本当に嫌ですけどね」

 お互い利用客、それこそ「お互い様」のはずなのだが、残念ながらそうした人は一定数いる。

 スーパーやコンビニのセルフレジという新しい日常に潜む「心ないプレッシャー」という不寛容、せっかくセルフレジがあるのに有人レジばかりに列ができる一例も、そうした不寛容な世間に対する各々の「自己防衛」といった面もまた、あるのかもしれない。

【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経て、社会問題や社会倫理のルポルタージュを手掛ける。

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