住宅地、京急沿いにある横浜高校(HPより)
前監督はパワハラで退任
これは「叱咤激励」なのだろうか。「頭がおかしい」とは球児の人格を否定する言葉に聞こえる。部屋の外にまで聞こえるほどの声量で、直情的な言葉の数々。文科省の「運動部活動での指導のガイドライン」では、許されない指導の例として〈パワーハラスメントと判断される言葉や態度による脅し、威圧・威嚇的発言や行為〉が挙げられている。
ロッカールームから私を遠ざけようとする高野連の役員に対し、「この状況は問題ではありませんか?」と尋ねたが、黙って相手校のロッカールームがある三塁側へと走って行った。
横浜では2019年にパワハラが発覚した前部長と前監督が退任。名門の再建を託されたのが村田監督だ。しかし、昨年5月には2年生の有望選手とその保護者が村田監督のパワハラを訴えて退部した騒動が『週刊文春』に報じられた。
前回の騒動から1年4か月。1998年に松坂大輔を擁して春夏連覇を遂げ、通算5度の全国制覇を誇る超名門校の体質は変わっていないのだろうか。
向上との試合は、確かに能力の高い選手が全国から集まる名門らしからぬ内容だった。横浜が先制するも逆転を許し、ようやく同点に追いついたのは8回。タイブレークにもつれ、18人もの選手を起用した指揮官にはフラストレーションの溜まる試合だったに違いない。
しばらくして、村田監督が報道陣の囲み取材の場に現れた。
「申し訳ないです」
誰に対する謝罪なのだろうか。ともかく、村田監督のそんな言葉から始まった。
「初球から『振っていけ』と言っているのに、『待て』のサインを出しているような感じだった。振れなかったら、点数入るわけねえだろうという話で。ほんと情けな過ぎます」