優しい人柄の持ち主だった

優しい人柄の持ち主だった(1976年)

 そのうち、升田先生の奥さんが寿司屋に迎えに来た。少しふらつく升田先生を支えながら、新幹線のホームまで見送る。窓際に座った升田先生が、ホームの僕に手を振ってくれた。忘れられない2時間だった。

〈強がりが 雪に轉んで 廻り見る〉

 升田先生が、陣屋事件の後に読んだ有名な句だ。升田先生の時代にあった棋士たちの美学が、僕にはたまらなく懐かしい。

※弦巻勝『将棋カメラマン 大山康晴から藤井聡太まで「名棋士の素顔」』より一部抜粋・再構成

【プロフィール】
弦巻勝(つるまき・まさる)/1949年、東京都生まれ。日本写真専門学校を卒業後、総合週刊誌のカメラマンに。1970年代から将棋界の撮影を始め、『近代将棋』『将棋世界』など将棋専門誌の撮影を担当する。大山康晴、升田幸三の時代から中原誠、米長邦雄、谷川浩司、羽生善治、そして藤井聡太まで、半世紀にわたってスター棋士たちを撮影した。“閉鎖的”だった将棋界の奥深くに入り込み、多くの棋士たちと交流。対局風景だけでなく、棋士たちのプライベートな素顔を写真に収めてきた。日本写真家協会会員。

 

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