『開局70年特別番組THE MYSTERY DAY〜有名人連続失踪事件の謎を追え』に出演
つまり3特番のすべてが、「生放送はメインではなくサブ」という扱い。収録済みの映像を盛り上げ、視聴率獲得につなげるために生放送パートを加えているのでしょう。
生放送のイベント感と番宣効果
生放送の長所は、リアルタイムで見ている視聴者に「何が起きるか分からない」というハラハラドキドキの臨場感を与え、番組との一体感を醸し出せること。やはり視聴率獲得を狙う上で、リアルタイム視聴してもらうための戦略として生特番が放送されているのです。
また、生放送パートを作ることで、テレビ番組の視聴に「多くの人々と一緒に楽しむ」というイベント感を持たせることが可能。たとえば、『M-1グランプリ』(ABC・テレビ朝日系)や『キングオブコント』(TBS系)など生放送のお笑い賞レースでは、SNSで一緒に笑い、一緒にツッコミを入れ、一緒に感動して楽しむようなイベント感があります。その意味で『THE MYSTERY DAY』は、今後の試金石になる生特番と言っていいでしょう。
その他にも、「『生放送SP』と掲げて特別なムードを感じてもらう形で番宣できる」などのメリットがあるため、「できるだけリスクの少ない形で生放送パートを作っていこう」という姿勢が見られます。
ネット上には「これを生放送にする意味はあるの?」という疑問の声も見られますが、「配信ではなく今見てもらうために、少しでも視聴率が上がるならやろう」「低視聴率番組のテコ入れにやってみよう」などと踏み込んでいける実行力は日本テレビの強み。実際、日本テレビは良い意味でクリエイティブにこだわりすぎず、ビジネスとのバランスが取れた番組制作で、視聴率争いを独走してきました。
現在もスポンサー受けのいいコア層(主に13~49歳)の個人視聴率争いで独走しながらも、日本テレビの危機感は小さくないと聞いています。コンテンツビジネス全体がオンデマンドをベースにしたストック型中心に向かう中、民放各局はそれでもリアルタイムで見てもらうフロー型の番組で視聴率を獲得していかなければいけません。
日本テレビはドラマ枠やアニメ枠を増やして時代の流れに対応しつつ、生放送などの仕掛けにも労を惜しまず実行することで視聴率獲得を目指していくのでしょう。