そんな雑誌に登場したマツケンは、表紙をめくるといきなり「ゆめかわ Viva&Loveマツケンサンバ 恋叶おまじないシール」として現れる。ネット上で見たシールは、『ちゃお』のイメージカラーのピンク色を背景と、キンキラ衣装の金色の取り合わせが目にも鮮やかで、可愛らしい。サンバで見せる5通りのポーズを決めたマツケン殿様は、「ビバ!!恋叶」や「恋愛成就サンバ!!」「きっとその想いは届くよ セニョリータ」と、読者である少女たちにメッセージを送る。
小学生までも虜にしてしまう『マツケンサンバ』だが、少女たちからからすれば69歳の松平さんはオーラまばゆい芸能人とはいえ、いい歳をしたオジサンだ。人気の高さは曲や踊りだけではないはずで、他にも理由があるのでは、と考えてみる。1つは「視認性」の高さ、パッと見た瞬間の認識のしやすさ、見やすさやわかりやすさだ。というのも、子供は視認性が高いコントラストがはっきりした色や、キラキラした物を好む傾向がある。キラキラピカピカ輝きながら踊るマツケンはまさに子供好み、釘付けにさせてしまう効果は抜群だ。
もう1つはあのスタイル。ある程度の年齢ならば、松平さん主演で人気だったドラマ『暴れん坊将軍』のイメージなのだが、子供たちはそれを知らない。彼らにすれば殿様姿はサンバのキャラクター、現実離れしたゆるキャラみたいなものではないだろうか。だから年齢は関係ない。ここ数年、殿様が人気を集めるような時代劇も放映されないから、子供たちの中に殿様に対するステレオタイプも存在しない。そう考えると、もしマツケンがキンピカのタキシードでサンバを踊っていたら、子供たちにここまで受けたかはわからない。
書いていて、20年以上前に「魔除けになる」と女子高生を中心に話題になった歌手、天童よしみさんのキャラクター人形、”よしみちゃんキーホルダー”を思い出した。これを機にマツケン殿様も恋が叶うお守りになったりして。