胃腸薬は胃炎などでの処方だけでなく、解熱鎮痛薬の服用で荒れた胃を修復する目的で一緒に処方されるなど、服用する頻度が高い身近な薬だ。
しかし、医者に処方されるがまま漫然と飲み続けていると“負の連鎖”を招く可能性があるという。おおたけ消化器内科クリニック院長で消化器内科の大竹真一郎医師が指摘する。
「胃潰瘍や逆流性食道炎による胃痛の緩和などに使われるプロトンポンプ阻害薬(PPI)は、長期の服用による副作用で骨粗しょう症や肺炎、認知症などのリスクを高めることが指摘されています」
ロキソプロフェンなどの鎮痛薬には胃潰瘍のリスクがあり、その予防のためにプロトンポンプ阻害薬が一緒に処方されるケースは多い。ただし、胃酸の分泌を抑えるとカルシウムの吸収を阻害してしまう。そのため長期間服用すると骨が脆くなるリスクが高まり、骨折などにつながりかねないという。
「骨が脆くなると高齢者は大腿骨頸部骨折を起こしやすくなります。ベッドで寝たきりになってしまうと、筋肉量の減退や精神状態に影響を及ぼす『廃用症候群』を発症して結果的に認知症につながったり、誤嚥性肺炎を患う可能性が高まる」(大竹医師)
そうしたリスクがあるなかで、胃腸薬とどのように付き合えば良いのか。
「胃潰瘍治療のためだけに6~8週間ぐらいを目安に服用するのであれば、プロトンポンプ阻害薬はとても効果の高い薬です。しかし、医者によってはダラダラと処方し続けるケースもあります。胃潰瘍が治ったらそれ以上は飲むのをやめるのが望ましい」(大竹医師)
1日に「60錠」
歳を重ねるなかで、運動不足やストレスなど生活習慣が原因で、長年便秘に悩まされている人は少なくない。「便秘薬」を服用している人も多いが、薬に頼りすぎると逆効果を招くこともある。
「腸を刺激して排便を促す刺激性の便秘薬センノシドをやたらと処方する医者には注意したい。そういった便秘薬には即効性がありますが、長期間にわたって服用すると反対に便の出を悪くすることがあります」(同前)