『超多様性トークショー!なれそめ』(公式HPより)
民放にバラエティの入れ換えはない
その理由として真っ先に挙げておきたいのは、攻めた内容と密度の濃さ。前述したように各番組のこだわりは相当なものがあり、NHKの関係者から「その多くが民放バラエティのように毎週放送し続けていくことが難しい」と聞いたことがあります。
たとえば、100台の小型カメラを設置する上に、それをすべて確認して編集するなど、膨大な労力と時間のかかる『100カメ』を一年中放送するのは実質的に不可能。それでも「若年層ターゲットゾーン」きっての人気番組だけに、年2回のハイペースで放送されています。
その他でも『笑わない数学』『ニッポン知らなかった選手権 実況中!』『阿佐ヶ谷アパートメント』などが2期目の放送をしましたが、いずれも「無理に毎週放送せず間隔を空けることで、番組の質や鮮度が落ちづらい」のもメリットの1つ。視聴者としても視聴習慣が付きにくい一方で、「これだけ攻めていて密度の濃い番組なら間隔を空けるのも仕方がない」と納得して待つことができるでしょう。さらに、視聴者の反応が鈍かった番組は3か月で終了させたり、思い切ったリニューアルでテコ入れを図ったりなどの戦略も可能です。
民放のバラエティは、基本的に視聴率が低迷しない限りレギュラー放送が続き、1クールなどで「番組を入れ換える」という編成はありません。「視聴率が獲れているのにいったん終了させて間隔を空けるのは、スポンサー対応としても考えづらい」のでしょう。
その意味でNHK総合23時台の番組と編成は視聴者にとって新鮮であり、1年半が過ぎてジワジワと浸透しはじめているのは、民放にとって脅威ではないでしょうか。
放送と配信の両立を目指す時間帯
近年、“23時台”はNHKと民放の両方にとって“若年層との接点”という意味で重要な時間帯になりつつあります。かつて23時台はゴールデン・プライム帯が終わって深夜帯に入る時間帯で、それほど重視されず、手堅く報道番組を放送する局が少なくありませんでした。