ライフ

専門家が回答「薬と身近な食べ物」の注意すべき組み合わせワーストランキング 1位は“降圧剤✕グレープフルーツ”

(写真/PIXTA)

薬を飲む際に注意すべき食べ物とは(写真/PIXTA)

 年齢を重ねるごとに抱える持病が増え、それに比例して服用する薬の量も増加していく。75才以上の半数近くが5種類以上の薬をのんでいる現在、複数の薬を同時に服用することで副作用が生じる「ポリファーマシー(多剤併用)」は深刻な社会問題だ。銀座薬局の代表で薬剤師の長澤育弘さんは、「それ以上に注意すべきは薬と食べ物の組み合わせ」だと指摘する。

「薬同士の危険なのみ合わせは製薬業界でもあらゆる論文や調査によって明らかになっており、医師や薬剤師にも注意喚起されています。一方で薬と食べ物に関してはデータが少ないことから、患者はもちろん医療者側も危険性に気がつかない人が多い。原因がわからない体の不調が、薬と食べ物の組み合わせによって生じていたというケースは少なくないのです」

 医療ガバナンス研究所理事長で医師の上昌広さんも、薬と食べ物の組み合わせのリスクについて「命にかかわるような体調不良につながる場合がある」と話す。

「自分では気がつかないうちに相性が悪い食べ物と薬を一緒に摂り、それらののみ合わせによって薬が吸収されにくくなったり、反対に過剰に吸収されてしまうことで、重篤な事態を引き起こす可能性は大いにあるといえます」(上さん)

 体調不良に見舞われてから後悔することのないよう、正しい知識で身を守りたいもの。そこで本誌は今回、12人の専門家へのアンケートをもとに、のみ合わせに気をつけるべき「薬と食べ物のワーストランキング」を作成した。

 以下、12名の専門家に「薬と食べ物の危険なのみ合わせ」を5つ挙げてもらい、もっとも危険なのみ合わせから順に10点、9点、8点、7点、6点として計算した。

 磯村優貴恵さん(管理栄養士)、鎌田直博さん(薬剤師)、上昌広さん(医師)、佐野こころさん(医学博士)、須永克佳さん(城西大学薬学部医療栄養学科教授)、高垣育さん(薬剤師ライター)、田中優子さん(田中病院院長)、長澤育弘さん(薬剤師)、中沢るみさん(管理栄養士)、堀美智子さん(薬剤師)、三上彰貴子さん(薬剤師)、武藤正樹さん(社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事)

健康食品が知らぬ間に体を蝕む

 数ある組み合わせから、もっとも多くの専門家が危険だと判定したのは「カルシウム拮抗薬×グレープフルーツ」だった。城西大学薬学部医療栄養学科教授の須永克佳さんが解説する。

「グレープフルーツに含まれる成分であるフラノクマリン類は、薬を分解する代謝酵素『CYP3A4』の働きを阻害するため、副作用が増強したり、効きすぎたりする可能性がある。この相互作用がはじめて知られるきっかけになったのがカルシウム拮抗薬で、血圧低下によるふらつきやめまい、頭痛などの症状が出る恐れがあります」

(写真/PIXTA)

副作用が増強(写真/PIXTA)

 フラノクマリン類が含まれるのはグレープフルーツだけではないと注意を促すのは、医学博士の佐野こころさんだ。

「温州みかんやレモンにはフラノクマリン類がほとんど含まれていませんが、はっさくや夏みかんには含まれています。柑橘類すべてが該当するわけではないからこそ、“大丈夫だろう”と食べたものにフラノクマリン類が含まれていた、ということがよくあります。

 カルシウム拮抗薬の場合、効果は服用後も3〜4日ほど残るため、薬を処方されている間やのみ終えてからもしばらくは口にするのを控えるのが望ましいです」

関連記事

トピックス

訃報が報じられた日テレの菅谷大介アナウンサー
「同僚の体調を気にしてシフトを組んでいた…」日テレ・菅谷大介アナが急死、直近で会話した局関係者が語る仲間への優しい”気遣い”
NEWSポストセブン
愛子さま(撮影/JMPA)
愛子さま、母校の学園祭に“秋の休日スタイル”で参加 出店でカリカリチーズ棒を購入、ラップバトルもご観覧 リラックスされたご様子でリフレッシュタイムを満喫 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン
クマによる被害が相次いでいる(getty images/「クマダス」より)
「胃の内容物の多くは人肉だった」「(遺体に)餌として喰われた痕跡が確認」十和利山熊襲撃事件、人間の味を覚えた“複数”のツキノワグマが起こした惨劇《本州最悪の被害》
NEWSポストセブン
近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン