ライフ

同性からの性被害 被害者は疑心暗鬼なまま過ごしていることが少なくない

性被害の実態調査への関心は高い。ジャニーズ事務所の記者会見を待つ報道陣ら(時事通信フォト)

性被害の実態調査への関心は高い。ジャニーズ事務所の記者会見を待つ報道陣ら(時事通信フォト)

 パワーハラスメントもセクシャルハラスメントもあってはならないし、被害者に寄り添って回復に協力するのは当然だというのが、2023年の今、社会の共通認識だろう。だが、それらに無関心で無神経だった時代が長かったため、日常生活で認識を改めるには至っていないのが現実だ。ライターの宮添優氏が、同性からの性被害を告白したものの、周囲の無理解とはぐらかしで受け止めてもらえなかった被害者たちが、今の風潮をどう感じているのかについてレポートする。

 * * *
 英BBCによる報道、さらに外国人記者クラブで被害者が会見をしたことをきっかけに、故ジャニー喜多川氏による性被害が注目され、優位的地位を利用した子供への性被害、同性からの性被害が改めて、社会問題として関心を集めている。

 マスコミを中心にファンや他の芸能人、当然ながら相当数の国民が「知っていた」にも関わらず「そんなものだと思っていた」と見過ごしていた現実に向き合えず、本筋でない話題ばかりが盛り上がり始めているのが現状かもしれない。ただそれでも、この問題について「ひどい話だ」と多くの国民が憤り、マスコミも「許されない」と断罪、そして自省も行い始めたのも事実。世論が被害者に寄り添うべきという雰囲気が強まり、これまで言い出しにくかった性被害について訴えやすくなるのではと期待の声も聞こえる。だが、そんな様子を眺め、複雑な思いを抱いている人たちがいる。

担任教師も親も、誰も寄り添ってくれなかった

「周囲からいろいろなことを言われ、果たして自分が被害者なのかもわからなくなりました。その後もホモと馬鹿にされ苦しかったのですが、笑ってごまかすしかなかったんです」

 都内在住の会社員・浜田悟さん(仮名・40代)は中学生の頃、1学年上の男子の先輩から性被害を受けた。先輩とは部活の先輩・後輩の関係だったが、ある日部室に呼び出されると、二人きりの状況下で下半身を触るよう要求されたという。部活動における上下関係は厳しく、最初は「ウソですよね」とおどけて見せた浜田さんだったが、すぐにそれが冗談でないと汲み取った。それから一ヶ月のうちに3度被害に遭い、理由は不明だが以後の要求はなかったという。

「当時は自分が被害にあったと理解できませんでしたが、時間が経つほどあれがまさに”性被害”だったと感じるようになり、数ヶ月後に担任に打ち明けたんです。親にも友達にも言えず、またあの先輩から要求されるかもと考えると、部活はもちろん、学校にすら行きたくなくなっていたんです。とにかく嫌で、仕方なかった」(浜田さん)

 しかし、寄り添ってくれるだろうと期待していた担任の反応は、全く予想だにしない、浜田さんを奈落の底に突き落とすようなひどいものだった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン