芸能

《宝塚歌劇団員転落死》遺族が頼った弁護士は“過労死の番人” 電通、NHKの裁判を担当、劇団の古い価値観を厳しく追及か

宝塚問題の弁護士は“過労死の番人”こと川人博氏

宝塚問題の弁護人は“過労死の番人”こと川人博氏

 11月10日、宝塚歌劇団に所属していた、有愛きいさん(享年25)の遺族代理人が開いた会見で配布された文書には、両親の悲痛な叫びが綴られ、最愛の娘を死に追いやった劇団への強い不信感が滲んでいた。

《娘の笑顔が大好きでした。

 その笑顔に私たちは癒され、励まされ、幸せをもらってきました。

 けれど、その笑顔は日に日に無くなっていき、あの日、変わり果てた姿となり二度と見ることが出来なくなってしまいました。

 くりくり動く大きな瞳も、柔らかい頬も、いとおしい声も、何もかも私たちから奪われてしまいました》

「会見で遺族側は、宙組の本公演と新人公演の準備に忙殺された有愛さんの生活サイクルを公表。連日、12時間以上も稽古場に詰め、亡くなる直前の約1か月半の間、休日はわずか6日。1日の平均睡眠時間は3時間ほどで、月の総労働時間は過労死ラインを大幅に超える400時間以上だったと主張したのです。

 さらに、代理人として会見したのが、あの『過労死の番人』だったことも注目を集めました。今後は、宙組内部のいじめ問題だけでなく、有愛さんの死の原因として過重労働やパワハラなどの点でも劇団を追及していくのでしょう」(全国紙社会部記者)

 有愛さんの遺族の代理人を務める川人博弁護士は、これまで多くの過労死問題に取り組んできた。2013年には1か月で159時間の残業をこなし、うっ血性心不全で過労死が認定されたNHK記者の佐戸未和さん(享年31)の遺族、そして2016年には、電通の新入社員で長時間残業を苦に亡くなった高橋まつりさん(享年24)の遺族の代理人を務めた。高橋さんの死は、後に「働き方改革」推進のきっかけともなった。

「高橋さんの死を巡っては、本社の入退館記録をもとに、勤務記録と本当の残業時間の差を丹念に算出。電通の『鬼十則』に代表される、目的達成が働く者の健康よりも優先される社風も問題視しました。

 のちに、高橋さんの母・幸美さんは“川人さんのおかげで、娘の尊厳を守ることができましたし、私もいま生きていられる”と語るなど、遺族から全幅の信頼を得ています。日本における過労死裁判の第一人者といえるでしょう」(前出・社会部記者)

 入団7年目の有愛さんは、昨年度から劇団と業務委託契約を交わしているが、遺族側は劇団との間には使用従属関係があり、「劇団には安全配慮義務がある」と主張する。根拠となっているのが契約書の中身だ。

「劇団は入団5年目までの下級生は阪急電鉄の社員として契約し、入団6年目からは個人事業主として出演契約を結ぶのです。

 ただ、契約書には《劇団の定めた稽古に参加し、演出家の指示に従わなければならない》《劇団以外で演技・歌唱等をおこなってはならない》などの記述があり、劇団が提出させる誓約書には《劇団の業務に専念し、体型維持・管理に努めること》といった記述もある。こうした関係性が、使用従属関係にあると遺族側は見ているのです。

 すでに有愛さんの遺族は劇団に謝罪や被害補償を求めていますが、納得できる説明がなければ、労災申請や民事裁判を提起するのではないか」(別の社会部記者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

あとは「ワールドシリーズMVP」(写真/EPA=時事)
大谷翔平、残された唯一の勲章「WシリーズMVP」に立ちはだかるブルージェイズの主砲ゲレーロJr. シュナイダー監督の「申告敬遠」も“意外な難敵”に
週刊ポスト
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
財務官僚出身の積極財政派として知られる片山さつき氏(時事通信フォト)
《増税派のラスボスを外し…》積極財政を掲げる高市早苗首相が財務省へ放った「三本の矢」 財務大臣として送り込まれた片山さつき氏は“刺客”
週刊ポスト
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
ツキノワグマは「人間を恐がる」と言われてきたが……(写真提供/イメージマート)
《全国で被害多発》”臆病だった”ツキノワグマが変わった 出没する地域の住民「こっちを食いたそうにみてたな、獲物って目で見んだ」
NEWSポストセブン
2020年に引退した元プロレスラーの中西学さん
《病気とかじゃないですよ》現役当時から体重45キロ減、中西学さんが明かした激ヤセの理由「今も痺れるときはあります」頚椎損傷の大ケガから14年の後悔
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
NEWSポストセブン