25才という若さで亡くなった有愛さん(写真は宝塚歌劇団HPより)
さらに、川人弁護士の手によって、「すみれコード」に代表される、劇団独特の風習にもメスが入る可能性があるという。
「会見では、上級生によるいきすぎた指導もやり玉に挙がりました。劇団内部で『長の期の長』と呼ばれる下級生の責任者を務めていた有愛さんは、新人公演に向けて下級生の指導役だった。そのため、上級生から“下級生の失敗は、すべてあんたのもんや”“マインドが足りない。マインドがないんか”といった怒声や“嘘つきやろう!”といった罵声を浴びせられていたそうです。
こうした上級生からの指導は“伝統”とも言えるが、川人弁護士はそれこそパワハラにあたり、過重労働とともに有愛さんの心身を苛んだと主張しています」(前出・別の社会部記者)
11月14日には宝塚歌劇団が会見し、外部の弁護士チームによる調査報告書を公表。過密スケジュールや自主稽古の存在が有愛さんの死につながった背景に触れ、劇団の安全配慮義務違反を認めるとともに遺族に謝罪した。さらに、再発防止に向けて、今後は興行数の見直しに着手することも明らかにした。
一方で、有愛さんへのハラスメントやいじめについては「存在を確認できなかった」と認めることはなかった。
この劇団による会見に、川人弁護士も即座に反応。同日に川人弁護士も会見を開くと、上級生によるパワハラやいじめを認めない姿勢を「一時代、二時代前の古い価値観」と痛烈に批判した。
かつては劇団の規律を守り、「清く、正しく、美しい」タカラジェンヌの育成のために許容されていた指導の数々。来年110年目を迎える劇団は二度と同じ不幸を繰り返さぬよう、今一度、組織の惨状に自戒の目を向けるべきだろう。
※女性セブン2023年11月30日・12月7日号
