医師・薬剤師が飲まない市販薬ランキング1位~4位
市販薬として服用するリスクが高いことを理由に名前が挙がったのは9位の「皮膚炎の塗り薬」も同様。とりわけステロイドを含有するものは注意が必要という声が相次いだ。
「市販のかゆみ止めや軟膏の中にはステロイドを含有するものが少なくありませんが、塗る箇所や分量によって副作用が強く出るため、使い分けるスキルが求められます。本来ならば医師の診断に応じた処方が必要で、市販薬として売られていること自体、私には理解できません」(高橋徳さん)
市販の漢方薬は「コスパ」悪
4位の漢方薬も「服用するならば処方薬の方がいい」と多くの専門家が口を揃えた。和クリニック院長で心療内科医の前田佳宏さんが言う。
「医薬品としての漢方薬は市販よりも効果が高く、種類も多い。困っている症状があるならば、医療機関で処方してもらった方が自分に合ったものを服用することができます」
自己判断による“重ねのみ”に伴う副作用への懸念の声も上がった。
「市販の漢方薬の多くに原材料として含まれている『甘草』は大量に摂取すると血液中のカリウムが少なくなる低カリウム血症や高血圧を引き起こす可能性がある。最悪の場合、不整脈で亡くなることもあるため、市販の漢方薬を複数のむことは推奨できません」(日本歯科大学内科客員教授の渡辺尚彦さん)
藤崎メディカルクリニック副院長の佐藤留美さんは、実際に漢方薬の副作用に苦しむ患者を目の当たりにしたことがあると話す。
「漢方薬を長期内服すると、低カリウム血症のほか、間質性肺炎を引き起こすケースがあります。私は以前、市販の漢方薬を長期内服したことが原因で、それらを併発した患者を診察した経験がある。自分自身では購入しないようにしています」
市販の漢方薬を長期服用することは体への負担に加え、金銭面の負担も生じる。銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘さんが言う。
「市販されている漢方薬は圧倒的にコスパが悪い。グラム単位で考えると、処方薬よりもかなり高価な金額になります。長期でのむつもりなら、病院に行って医療用の漢方を処方してもらった方が、副作用の面だけでなく、コスパ的にもいい」
市販薬の中にはそうした“割に合わない”薬が少なくなく、3位の「睡眠改善薬」に関しても、「ぼったくり」だと長澤さんは一刀両断する。
「有効成分の『クロルフェニラミン』は、抗アレルギー薬の主成分であり、その副作用の眠気を利用して作られたのが、市販の睡眠改善薬なのです。つまり処方薬として流通している睡眠薬とはまったくの別物で、中身は抗アレルギー薬にすぎません。にもかかわらず、1錠あたりの価格で比較すると、抗アレルギー薬の10倍近い価格がつけられています」
市販薬は、使い方を間違えれば体に負担がかかる一方、適切に使えばいざというときに頼りになる存在にもなる。ランキング表を参考に、年末の薬不足に備えてほしい。
「心強いアイテムだからこそ、選ぶときに細心の注意を払ってほしい。パッケージのキャッチコピーやCMに惑わされず、箱の裏の成分や含有量を必ずチェックし、服薬期間は必ず守りましょう。成分名を覚えるのは難しいかもしれませんが、わからなければ薬剤師に相談するなど、日頃から気にする姿勢を持つことが大切です」(岡田さん)
市販薬を味方につけられるかどうかは、あなた次第。その一粒を口に含む前に、いま一度見直してみよう。
※女性セブン2023年11月30日・12月7日号
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