1985年のビールかけ(右から真弓明信、掛布雅之、岡田彰布)
今も「黄金バッテリー」
田淵:今季、阪神がオーダー変えたのは69試合。打順を固定したほうが本人も慣れるし、一番は柱ができる。家を建てるのだって柱が一番大事よ。ピッチャーだったら先発4人で、バッターだったら1本ドンとやる本柱がほしい。試合が終わって次の日「え? 俺、何番? 今日出ないの?」と。
江夏:じゃあ、何のために打順があるのかってことよ。1番は足が速いとか、2番は小細工が効くとか役割があって打順を組んでるわけだから、それをわざわざ崩すことはない。それ以上の打線が組めるなら別だけど、やっぱり固定が望ましい。部屋に入ってきて、自分の座る場所がないと戸惑うからね。打順に関しては時代を追うごとに研究材料はどんどん深くなっていくんじゃないか。
田淵:捕手目線で言えば、「キャッチング」かな。際どいコースを「ストライク」判定してもらうために今時の選手はミットを動かすでしょ。「フレーミング」って補球技術だけど、アンパイアに一言物申したいのは、そんなのに騙されるなってこと。日本シリーズでもオリックスのキャッチャー若月(健矢・28)は、ミットをえらい動かしてた。
それに比べて坂本(誠志郎・30)はパッと捕る。12球団で坂本が一番上手いんじゃない? キャッチング然り、インサイドワーク然り。バッティングが難点だったけど、これも良くなった。怪我の功名じゃないけど、梅野(隆太郎・32)が戦列を離れて一気に浮上した。
江夏:ブチも入団したての頃は、違う意味でよくミットを動かしとったよ。
田淵:新人のキャンプで豊の投げ込みを500球も受けてたら、ミットが球威に負けて流れてたんだよな。「それだとストライクがボールになる」って言われて、必死に左手首を鍛えてさ。豊は覚えてるか知らないけど。
江夏:覚えてるよ。密かに鉄アレイで鍛えているのを知って妙に嬉しかったのを覚えている。
田淵:その一言で左手首が鍛えられて、俺のホームラン数にもプラスになったんだから俺のほうこそありがたかったよ。