A子さんの自宅マンションの玄関ロビーでモニターに写る山口氏(左)とA子さん

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父親とのツーショット写真

 坂戸ガスの寄附が、選挙戦で効果的に使われ、山口父子の“議席の世襲”を有利にしたのではないか。まさに親から「地盤」「看板」「カバン(資金)」を受け継ぐ“ザ・世襲議員”ならではの選挙のやり方と言えよう。さらに、このケースは選挙違反の疑いがある。公職選挙法(199条の3)は、「公職の候補者等の関係会社等の寄附の禁止」をこう定めている。

〈公職の候補者(中略)がその役職員又は構成員である会社その他の法人又は団体は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、これらの者の氏名を表示し又はこれらの者の氏名が類推されるような方法で寄附をしてはならない〉

 泰明氏が引退を表明し、自民党埼玉県連が山口氏を埼玉10区の候補者に決定したのは2021年7月。坂戸ガスの寄附(9月)は山口氏が「公職の候補者等」となった後に、「公職の候補者が役職員である会社」の坂戸ガスから選挙区内になされたことは明白だ。

 しかも、鶴ヶ島市長が「贈呈式」で泰明氏から寄附の目録を受け取った時のツーショット写真を公表し、その泰明氏は有権者に配布した党の機関紙で「山口すすむが、継承します」とアピールしているのだから、候補者の類推は容易にできる。公選法や政治とカネの問題に詳しい上脇博之・神戸学院大学法学部教授が指摘する。

「公選法199条の3の条文では『これらの者の氏名を表示し又はこれらの者の氏名が類推されるような方法で』となっているが、坂戸ガスの経営者が山口家であることは知られており、受け取った自治体も十分承知しているのではないでしょうか。だから公選法に抵触する可能性は高い」

 実は、この問題は選挙後、坂戸市議会で追及され、市民団体が父の泰明氏を検察に告発。今年3月、さいたま地検は泰明氏の不起訴処分を決定した。だが、息子の晋氏は告発されていなかった。上脇氏が続ける。

「父の泰明氏は寄附当時、坂戸ガスの代表で現職国会議員ではあったが、引退を決めているので候補者ではなかった。それに対して、息子の晋氏は坂戸ガスの役員で公職の候補者だったから、父の泰明氏以上に公選法に抵触する要件を満たしていると言えます」

 山口事務所に聞くと、「坂戸ガスにお尋ねください」と回答。坂戸ガスは、「既に不起訴が決定され、適法とされている」と回答した。不起訴と適法は違う。しかも、今回の問題は父の泰明氏ではなく山口氏自身の関与だ。

 回答も父の会社に“おんぶに抱っこ”だった。

※週刊ポスト2023年12月15日号

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