作家Y「もはや、芸人総出演の“単独ライブ”というか、そこに物語を作れる芸人が王者になれるという、最も熾烈であり、最もトリッキーな賞レースだなといつも思いますね。ここ3年はマヂカルラブリー(2020年)、錦鯉(2021年)、ウエストランド(2022年)と、過去に決勝を経験したコンビが優勝している。このジンクスは今年もあると思うので、私は真空ジェシカが大本命だと思いますね。川北茂澄さんの縦横無尽なボケはすでにおなじみですが、今回のネタはちゃんと賞レースに合わせて構成力を上げ、意外にも深みがあるし、もはやアートの領域。発想力も随一ですし、三年連続決勝進出というのは侮れない。機は熟したと見ていいでしょうね」
K局員「たしかに、決勝経験者は確実に高成績を生むはず。さや香の仕上がりが今回も素晴らしいと予選でも言われていましたが、去年の2本のイメージがまだ残っているので、相当ハードルが上がっていると見る向きも。さや香は、去年の流れもあって今年も本当に強いんですが、やはり見てる側は同じフォーマットを二年連続見せられるのは飽きてしまうんですよね。ですから、前年の準優勝コンビという輝かしい実績が彼らの足を引っ張るのではないかと。そういった意味で、私の本命は令和ロマン。慶応義塾大学出身の高学歴コンビで、結成5年でこの技術力は圧巻。笑いの手数(てかず)でいうとかなりハイピッチなので、賞レース向きのコンビです。今年は初の決勝進出者の方が有利に働くと思いますね」
N記者「私は、ダントツでカベポスターですね。やはり漫才がうますぎるのと、なんといっても上品な世界観がいい。前回は一番手で審査員の山田邦子さんに84点をつけられてしまいましたが、あれは事故みたいなもの(笑い)。予選のネタも相当爆発していましたが、決勝用にネタをさらにチューニングしているはず。一番手さえ引かなければ、カベポスターで決まりです」
作家Y「一応、対抗馬も言わせてください。周りの芸人に聞くと、みんなダンビラムーチョを推すんですよね。前回の敗者復活の歌ネタは語り草になっているし、今回の決勝で彼らが得意とする歌ネタを1本目にやれば、勝機はあるはず。世界観をうまく出せれば、優勝もありえます」
K局員「私も、予選を見た限り、ダンビラムーチョの優勝は全然ありえると思いますね。あと、業界内の評判でいうとヤ─レンズもよく聞きますね」
N記者「芸人やお笑い関係者はヤ─レンズを推していますね。大阪吉本をやめてケイダッシュステージに移籍、苦労を重ねて漫才のスキルを伸ばし、昨年は敗者復活戦でダンビラムーチョより上位の第6位。絶妙にくだらない設定やワードセンスは卓越しています。ケイダッシュ所属でいうとオードリー以来の売れっ子漫才師になれる逸材だと言われていますね。テレビ受けも良さそうなので、今大会で上位に食い込めば、2024年はバラエティー番組でもブレイクしそう」