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「自分の居場所」を求め続けてきた

「飛び出すことも経験になる」

「海外なら自分が佐藤かよであることを知らない」と、移住に向けて走り出した。彼女が選んだのは、韓国だった。

「もともと美容大国の韓国が好きでしたし、住んでみたらとても合っていたんです。韓国で芸能活動もしてみたいし、コスメ関連の仕事もしたい。あとは、トランスジェンダーというイメージを変えていける活動もしていきたい。いろいろやりたいことに燃えていたんですけど、新型コロナウイルスの影響で帰国することになりました。で、今なんですよね。

 今はこれからやりたいことを画策中。そのプランの中に、また韓国に住むことも考えていますよ。当時は運良く、韓国でゲーム実況のお仕事ができたんですけど、また別の仕事にも興味があります。ほら、生きていかなくちゃいけないし」

 振り返ると彼女の人生は、飛び出すことが多かった。男性でいることに耐えられなくなり、中学生で家出。地元・名古屋のモデルとして人気が出たのちに、東京で芸能界デビュー。そしてカミングアウトと続く。30代には日本を飛び出した。これは自身が居場所を探す旅なのだろうか?

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「自分だけは自分の味方でいようと」

「具体的に家族、友達、パートナーのような居場所はないですよ。今はね、自分自身が居場所。東京で芸能界に入ってよく『居場所や仕事があって良かったね』と言われることがありました。でもやっぱりいいことばかりじゃない。

 人として生まれてきた時点で、ふつうよりも少しズレて始まった私には私なりの悩みがある。そういうときに自分に帰る。自分だけは自分の味方でいようと思ったんです。だから“気にしなくなった”プラス、“自信も持てた”のかも」

 現在の日本には周囲の理解を得られず、かつての彼女と同じように、もがき、苦しむ10代のトランスジェンダーもいる。彼らのなかには窮屈な社会で、苦痛に喘ぐ生活を強いられている人もいるだろう。今の佐藤かよなら、彼らにどんな声をかけるのか。

「悩んでいる人の年齢にもよりますが、成長した後の苦労を考えると、私みたいに飛び出すこともいい経験になると伝えてあげたいです。私も学生時代、居心地の悪い中で生活したり、自分が要求されていない環境にいて苦しかった。行動することで、自分の居場所はひとつじゃないと、体で実感することができますから。だから先ほどコメントしたように、私の居場所は“自分”なんです。

 ただ10代だとまだ自分で行動できないことも多い。そういうときは、まず両親、それから友達の親、クリニックの医師や、地域サポート……といろいろな大人の意見を聞いてください。中には辛辣なことしか言わない大人もいるかもしれない。でも居場所はけっしてひとつではないです。私のインスタにDMを送ってくれてもいい。SNSをうまく活用することも解決策のひとつです」

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悩める10代へのメッセージを語る

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