年の瀬が押し迫る中、安倍派の裏金捜査を進める東京地検特捜部はいよいよ政治家本人に“王手”をかけた。
霞が関の御用納めの12月28日、安倍派から総額約5000万円のキックバックを受けたとされる大野泰正・参院議員の議員会館の事務所や議員宿舎などを家宅捜索した。前日の池田佳隆・元内閣府副大臣に続く連日の強制捜査だ。
特捜部はすでに安倍派と二階派の派閥事務所を強制捜査し、松野博一・前官房長官、事務総長の高木毅・前自民党国会対策委員長、世耕弘成・自民党参院幹事長、萩生田光一・前政調会長ら派閥幹部に次々と任意の事情聴取を行ってきたが、個別の議員への強制捜査の段階に入ったのだ。
これに”今が攻め時”とばかりに批判のボルテージを上げたのが立憲民主党の泉健太・代表だ。
「由々しきこと。議員会館に捜査が入るのは異常事態だ」
そう語ったうえで、「岸田首相は今こそ指導力を発揮すべきだ。疑惑で名前が挙がっている議員に対して『自ら情報開示せよ』と命じればいい」と首相に矛先を向けた。野党第一党の党首としては、一気に岸田内閣を追い詰めたいところだろう。
ところが、足元の立憲民主党内の一部からは、そんな泉氏を心配する声が囁かれている。
「代表は勇ましいことを言っているけど、自分もこっそりパーティーを開いていたことがバレたらどう説明するつもりなのか。ブーメランになりかねない」
実は、泉氏は12月10日、地元・京都の「ホテルグランヴィア京都」で政治資金パーティー「泉ケンタと日本を伸ばす会」(健伸会懇親会)を開催した。
「パーティは結婚式のように参加者が円卓に座る正餐形式で開かれ、セミナーの講師は経産省OBで青山社中代表の朝比奈一郎さん。鳩山内閣時代の官房副長官で来年2月の京都市長選に無所属での出馬を表明している松井孝治さんも来ていた」(関係者)
この日は朝日新聞が朝刊1面トップで「松野・西村・萩生田氏 更迭へ」と岸田首相が裏金疑惑で安倍派幹部を大臣や党の要職から一掃する人事を決めたことを報じ、裏金問題が燃えさかっていたさなかだ。
泉氏もこの日の朝、自身のX(旧Twitter)に、〈松野官房長官、まさか、まさか、辞任の際に首相官邸の官房長官室の金庫から#官房機密費を持ち出すことはしないだろうな! 過去、何度も金庫が空になったと聞く。岸田総理、そんなことは絶対に許されないぞ。〉と書き込んでいるが、なぜか泉氏のXやFacebookの活動記録を見ても、自分の政治資金パーティーのことは全く触れていない。