しかし、今回の山内アナの強い呼びかけの背景にはNHKアナウンス室の災害報道への強い思いがあるという。NHK関係者が語る。
「NHKのアナウンス室は東日本大震災以降、大規模災害の際に『呼びかけ』内容を検証し、改善してきました。今回のような、普段は冷静なアナウンサーが強く呼びかけるアナウンス方法も、当時の改善案として定着した手法です。『異常な姿』を見せることで、特別なことが起きていると認識してもらうことを目的としています。
さらに『呼びかけ』に関する調査の過程で、全国放送のアナウンサーよりも、地元のテレビでよくみかけるアナウンサーのほうが実際の避難につながりやすいということがわかりました。そこで立てられたのが、“災害時には地域の局から地域住民に向けた呼びかけ”を重視するという方針です」
「600ページにわたるマニュアル」
この方針を受け、2021年春に完成したのが、NHKアナウンス室が2018年から2020年度にかけてとりまとめた『地域版 命を守る呼びかけ』というマニュアルだ。全国で40以上の局が参加し、ページは600ページにもわたる。