国内

【屋山太郎氏×田原総一朗氏・2024年政局予測】4月に「高市早苗政権」成立、半月後に解散総選挙のシナリオはあるか

4月に「高市早苗政権」誕生というシナリオも?(時事通信フォト)

4月に「高市早苗政権」誕生というシナリオも?(時事通信フォト)

 東京地検特捜部による自民党最大派閥・安倍派の裏金事件捜査が大詰めを迎えている。これまで数々の政権崩壊の舞台裏を見てきた2人のレジェンド政治ウォッチャー、屋山太郎氏とジャーナリスト、田原総一朗氏が政局激動を展望する。【全3回の第3回】

屋山:注目すべきは、高市早苗だと思う。高市には今のところカネの疑惑はなく、派閥にも入っていない。女性という点も、選挙にはプラスになる。今年は安全保障の問題がさらにクローズアップされるはずで、高市は国防、安全保障にも長けている。カネと派閥の問題が問われる中、高市が総理総裁を目指すには非常に有利な状況。自民党内の多くが高市支持に動き、岸田おろしに向かうという流れはあり得る。

屋山:そうなれば解散総選挙は早まる。

田原:自民党で岸田おろしが起きた場合、岸田にはそれを防ぐための解散・総選挙は打てない。

屋山:岸田で解散したら自民党の保守票は百田尚樹の日本保守党に流れてしまうよ。

田原:高市総理で解散があると?

屋山:岸田が3月末の予算成立と引き換えに内閣総辞職、4月初めに高市政権ができるとする。そうしたら、もたもたせず、半月程度で解散総選挙に打って出る可能性は高いと思う。高市の政権基盤が固まっていないうちに、小石河連合(小泉、石破、河野)が党改革などを掲げて動き出すとややこしくなる。そういう動きを封じるためにも、即時の解散が望ましい。自民党が勝てば、高市は国民に信任されたことになる。

田原:そう簡単に勝てるかね。

屋山:たしかに簡単ではない。総選挙になれば日本維新の会が伸びると思う。まだ玉石混淆で中には変な議員もいたが、そんなのは外していけばいい。少なくとも、維新には大物議員が離反するといった内紛は起きない。

田原:しかし、維新は野党第一党が狙い。立憲、国民、維新の代表に話を聞く機会があったが、政権奪取の話を聞こうとしたのに、維新の馬場伸幸・代表と立憲の泉健太・代表が互いに批判し合うばかりで、自民党を叩こうとしない。維新は政権奪取の気持ちは持っていても、野党間の戦いに目がいっている。自民党を標的に絞って攻撃しないと政権は遠い。

屋山:政権を奪う力はついてきていないね。

田原:野党の中での維新の特徴は、立憲にも国民にも左翼がいるが、維新だけは左翼はいらないという立場がはっきりしていること。だから自民党内には総選挙で過半数を割った時は、公明党を切って維新と組みたいと思っている者が結構いる。

屋山:自公連立はインチキだからね。公明党は「加憲」だから憲法に対するスタンスが違うのに、連立して政権を運営する。これはインチキなんだ。創価学会の池田大作氏(名誉会長)が死んでこれからどうなるかはまだわからないが、自民党も公明党も連立そのものは維持するだろう。

田原:自民党が選挙に負けて維新と組む場合も、公明とは切れない?

屋山:自民党ってのは権力維持に卑しいからね。自公+維新とか、そういうことを考える。

田原:それで裏金問題をウヤムヤにしようというのは自民党の常套手段。総選挙で自民が負けても、維新が政権に取り込まれるようなら、自民党に利用され、勢いを搾り取られてしまうことになる。本当の政界再編ではない。

屋山:今年は各政党、政治家個々の覚悟、姿勢が問われるし、国民に政治家の真価がよく見えてくるはずだ。(文中敬称略)

(了。第1回から読む

【プロフィール】
屋山太郎(ややま・たろう)/1932年、福岡県生まれ。東北大学文学部仏文科卒業後、時事通信社に入社し政治部へ。ローマ特派員、ジュネーブ特派員、首相官邸キャップ、編集委員兼解説委員等を歴任。現在、日本戦略研究フォーラム会長。『安倍外交で日本は強くなる』『安倍晋三興国論』(ともに海竜社)など著書多数。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所、東京12チャンネル(現・テレビ東京)を経て、1977年、フリージャーナリストに。『日本の政治 田中角栄・角栄以後』(講談社)、『さらば総理 歴代宰相通信簿』(朝日新聞出版)など著書多数。

※週刊ポスト2024年1月12・19日号

関連記事

トピックス

高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年、第27回参議委員議員選挙で使用した日本維新の会のポスター(時事通信フォト)
《本当に許せません》維新議員の”国保逃れ”疑惑で「日本維新の会」に広がる怒りの声「身を切る改革って自分たちの身じゃなかったってこと」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《広陵高校暴力問題》いまだ校長、前監督からの謝罪はなく被害生徒の父は「同じような事件の再発」を危惧 第三者委の調査はこれからで学校側は「個別の質問には対応しない」と回答
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン