痛ましい事件は、静岡県浜松市内の歓楽街・千歳町の一角にあるガールズバーで起きた(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「死んだら終わりなんだよ!」──男性が行き場のない怒りと悲しみをあらわにしてから、はや半年以上が経つ。この男性は7月、静岡県浜松市のガールズバーで刺殺事件に巻き込まれ亡くなった竹内朋香さん(当時27)の夫である。
犯人とみられていた無職・山下市郎被告は3か月の鑑定留置の結果、刑事責任が問えると判断され、11月14日に殺人罪などで起訴。裁判を控えるなか、あらためて遺族の竹内さんの夫に思いを聞いた。
大手紙社会部記者が事件を振り返る。
「起訴状などによれば、山下被告は7月6日午前2時ごろ、行きつけだった浜松市・千歳町のガールズバーの店長である竹内さんと、店員の伊藤凜さん(当時26)を、用意した2本のナイフで突き刺して殺害したとされる。
被告は来店するたび伊藤さんを指名しており、好意をもっていた。取り調べに対しても『女性に好意があった。2人にバカにされて腹が立った』などと供述している。男が事件前、なんらかの方法で伊藤さんと竹内さんが交わしていた男に関するメッセージの内容を知り、逆恨みしたことで事件に発展したとみられる」
犯行に使われたのはネパールの軍隊でも採用される、『ククリナイフ』と呼ばれる特殊な形状の刃物。殺傷能力が高く、一般的に使用されることは少ないことからも、強い殺意がうかがえる。
男は頻繁に竹内さんのガールズバーに来店しており、妻と共同で店を切り盛りしていた夫にとっても青天の霹靂の出来事だった。当時、夫は憤りながらこう語っている。
「容疑者と飲んだこともあるよ。でも、それは客だからな。常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ。あんたも昨日会った人に家が放火されるとか思うか? そんなん思わないだろ」
12月上旬、NEWSポストセブンはあらためて浜松市を訪れた。夫が事件後についてこう明かす。
