琴ノ若(時事通信フォト)
やく:たどったルートを見ても、稀代の横綱です。無理がたたって具合が悪くなったのだから、本人が腹をくくるまで待ってやるべきだと思います。
ヨネスケ:優勝した時のインタビューも、優しい性格が出ていて好きだね。
やく:そもそも横綱には、昇進してからも強くなって一時代を築く横綱もいれば、ギリギリのところで昇進する“到達型”もいる。ギリギリ横綱でもいいと思いますね。
ヨネスケ:ボクは横綱に求めるのは心技体。特に「心」ね。受けて立ち、最後は勝つ。まず思い浮かぶのは千代の富士。ボクの世代では千代の山もそう。栃錦も凄かった。
やく:自分が相撲を見始めた時に君臨していた姿が、理想の横綱として刷り込まれるとボクは勝手に思っています。貴乃花だと言う人も、北の湖だと言う人もいる。デーモン閣下は輪島だと思っている。ボクは大鵬ですね。
初場所は新たに君臨する横綱が出てくる転換点になるかもしれませんが、もうちぃと戦国時代を見たい気もします。
ヨネスケ:ボクも同じ。どっちが勝つかわからない一番ばかりで、なかなかトイレに行けない。そういう大相撲も面白いよ。
(了。前編から読む)
【プロフィール】
ヨネスケ/1948年、千葉県生まれ。漫画家。1967年、桂米丸に弟子入り。1981年に真打昇進。『突撃!隣の晩ごはん』(日本テレビ系)での人情味溢れるキャラクターで親しまれ、プロ野球、大相撲に造詣が深い。
やくみつる/1959年、東京都生まれ。落語家。1981年、漫画『がんばれエガワ君』でデビューし、1996年『文藝春秋漫画賞』を受賞。元日本相撲協会外部委員で、テレビコメンテーターとしても活躍する。
※週刊ポスト2024年1月12・19日号