国内

【自民党パーティー収入裏金化の実態】20年前にもあった「清和会パー券疑惑」 追及した元共同通信記者が告発

20年前にも同様の裏金事件があった(左から小泉純一郎氏、森喜朗氏/時事通信フォト)

20年前にも同様の裏金事件があった(左から小泉純一郎氏、森喜朗氏/時事通信フォト)

 昨年末から自民党の政治資金パーティーをめぐる裏金事件が政界を揺るがす大騒動となっている。だが、実は20年以上前にまったく同じ問題が追及されていた──当時、共同通信社の政治部記者としてそのことを報じた帝京大学教授の柿崎明二氏(元首相補佐官)が、今回の事件の本質に迫る。

 * * *
「パーティー収入 裏金化か 割り当て超す販売 若手議員に還元」

 これはある新聞記事の見出しだが、最近のものではない。2005年3月10日付の静岡新聞一面トップに掲載されたものである。記事は前日夜、共同通信が配信しており、静岡新聞はじめ多くの新聞社が掲載した。

 記事は当時、共同通信政治部の記者だった私が担当デスクの下、今は編集局幹部となっている後輩らと取材していた調査報道のひとつだった。記事の前年9月には、日歯連から橋本派への1億円献金隠し事件が発覚。それを受けて(現在の安倍、茂木両派の源流である)森、橋本両派の政治資金収支報告書の不正を調査するなかで行き着いた記事だった。

 森派をめぐっては「議員に配った数億円 森派明細不記載か 1998年─2003年の収支報告書」(2005年1月23日付)、「森派繰越金 小泉首相『実態なし』認識 会長当時1.5億円 改善指示」(2005年3月26日付)などの記事も配信している。

 現在の事件と極めて酷似しているのは、冒頭の「パーティー収入──」の記事で、議員への還元の方法も詳述している。

〈関係者の証言などによると、昨年(筆者注2004年)4月に開催したパーティーの場合、会長の森喜朗前首相ら森派幹部が都内ホテルの一室に若手議員を呼び、200万円のいわゆる「氷代」とともに、パーティー券の販売数に応じて上乗せしたカネを手渡しした〉

 現在の安倍派の問題に関与が取りざたされている森氏がこの時は当事者として登場する。

〈パーティー分支給が数百万円に上った議員もいたが、ゼロの議員もいたという。関係者は「パーティー券のキックバックは慣例」としている。こうした資金の受領を記載せずに2004年の収支報告書を既に提出した議員もいる〉

〈森派の事務局は共同通信の取材に「昨年も派閥から所属議員に配った金はない。議員が受け取った金は党から派閥を経由した『政策活動費』で、政治資金収支報告書に記載する必要がない。パーティー収入を議員に渡すこともしていない。すべて適正に処理している」と否定している〉

「キックバック」「政策活動費」など当事者が使う言葉まで現在と全く同じであることに苦笑してしまう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
国仲涼子が『ちゅらさん』出演当時の思い出を振り返る
国仲涼子が語る“田中好子さんの思い出”と“相撲への愛” 『ちゅらさん』母娘の絆から始まった相撲部屋通い「体があたる時の音がたまらない」
週刊ポスト
「運転免許証偽造」を謳う中国系業者たちの実態とは
《料金は1枚1万円で即発送可能》中国人観光客向け「運転免許証偽造」を謳う中国系業者に接触、本物との違いが判別できない精巧な仕上がり レンタカー業者も「見破るのは困難」
週刊ポスト
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン