「元気を送るテレビ」を振り返る映画監督の山下敦弘氏

「元気を送るテレビ」を振り返る映画監督の山下敦弘氏

いとうせいこうとの会議は「放送作家人生で一番くらい楽しかった」

 喋らない山田に代わり、仕切りや状況解説を一手に引き受けたのがいとうせいこうだ。

「急に番組が変わって生放送になり、山田孝之が変になるという設定が最初に決まっていて、その段階で大真面目に現場を仕切ってくれる人が必要だって話になったんです。芸人さんがそれをやっちゃうと嘘の象徴みたいになっちゃうから、ちゃんと真面目に見える人がいいと考えるとせいこうさんしかいないと。

 隣で進行するアナウンサー(水原恵理)もバラエティ系でなく報道の方を入れてもらって。せいこうさんを交えた5人の会議が僕の放送作家人生で一番くらい楽しかった会議ですね。せいこうさんは全部を理解した状態でいろいろアイデアを出してくれました」(竹村)

「この番組にかんしては、僕はほとんどなにもしてない。サブ(副調整室)で見守っていただけ(笑)。メールとかTwitterがバーっとあがってくるので、竹村さんたちがさばいている。それで時間が来たら終わる。あ、これがテレビの生放送か!って。あのときの興奮はスゴかったですね。竹村さんがカッコよく見えました(笑)」(山下)

 エンディングでは、バンド「溺れたエビ!」のライブパフォーマンスがおこなわれ、その演奏に合わせ出演者たちが踊り、いとうせいこうは視聴者からの投稿をポエトリーラップのようにエモーショナルに読み上げる。そんな中、山田孝之は鎮座したまま「元気」を送り続けている。それは狂騒の宴だった。

「最後、バンドが出てきて、みんなで踊り狂って、わけのわからないカオスな状態のまま終わるというのは、『赤塚不二夫の「激情No1」』(注:『私がつくった番組 マイテレビジョン』(東京12チャンネル)で1973年に放送された伝説的な番組。佐藤輝演出)みたいなことがやりたかったんですよ。

 そのバンドに溺れたエビ!を起用したのもせいこうさんのアイデアですね。僕もちょうど『BAZOOKA!!!』(BSスカパー)でライブを見ていたんで抜群にいいですねってなった。投稿を読むっていうのは決まっていたんですけど、ポエトリーリーディングみたいになったのは、完全にせいこうさんのアドリブ。本当に“ライブ”でした。

 あの番組は本当に楽しかったですね。松江くんもキャリアの中で一番楽しかったって言ってました。全員、得も言えぬ高揚感がありましたね」(竹村)

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