若き日の中島(1978年)

若き日の中島(1978年)

 それでも共鳴し合うところがあったのか、2人は快進撃を始める。

 1976年、研は『あばよ』で日本歌謡大賞放送音楽賞、FNS歌謡祭最優秀歌謡音楽賞を受賞し、その年の大晦日、『LA-LA-LA』で第27回NHK紅白歌合戦に初出場。同じく中島が作詞作曲した1978年の『かもめはかもめ』もヒットした。

 研をスターダムに押し上げた中島の作詞作曲スタイルを、前出の音楽関係者はこう語る。

「研さんが“こういう曲を書いてほしい”と伝えたことは一度もなく、中島さんは研さんの歌声だけをイメージして曲を作っていました。完成したのは難しい曲ばかりだけど、研さんは完璧に歌ってみせた。2人はまるで、楽曲を通じて会話をしているようでしたね」

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 ヒットを量産する研と中島に突然の“別れ”が訪れたのは1979年。同年8月発売の『ひとりぼっちで踊らせて/海鳴り』を最後に、2人の関係は途切れた。

「ある曲を巡ってプロモーションの仕方でちょっとした行き違いが生じ、どちらともなく距離を取るようになったそうです。そもそもあの2人が顔を合わせたのは最初のレコーディングの1回だけで、その後の直接のやりとりはなかった。曲を通じて会話しているように見えていても、繊細な2人の関係はもろく崩れやすかったのでしょう」(芸能関係者)

 一度は切れた運命の「糸」を再び結び直したのは、断絶から約25年が経過した頃だった。神奈川県内で行われた中島のコンサート会場に研が姿を現したのだった。

「再会と前後して研さんはベストアルバムをリリースしているのですが、その収録曲を見ると、中島さん提供の楽曲が数多く並んでいます。別れの挨拶もなく関係が終わってしまったことを、実は研さんはずっと気にかけていました。歌手人生を振り返ったときに、その気持ちがさらに大きくなったのかもしれません。彼女は夫を同伴して、中島さんの楽屋を訪れました。再会した2人は初対面のときのようにボソボソと“ご無沙汰しています”などの短い言葉を交わすだけだったとか。わずか数分だけの再会でしたが、心は再び通じ合ったようです」(前出・芸能関係者)

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