仕事中でも水分補給は必要。2021年、衆院予算委員会で水を飲む菅義偉首相(当時、時事通信フォト)

仕事中でも水分補給は必要。2021年、衆院予算委員会で水を飲む菅義偉首相(当時、時事通信フォト)

 おかしい。断る必要などないと思う。「けしからん」と客が思う必要があるのだろうか。客は商品を手に入れる、店は商品を売る、それだけの関係のはずだ。

 もちろん、きめ細やかなサービスや触れ合いもあるだろうし大切かもしれないが、実際はその「サービス」(「ボランティア」と同様に「無料奉仕」と誤用されて定着したとされる外来語)すら、本来の意味とはかけ離れた使われ方をしているケースがある。

 また、病院のコンビニで「御理解をいただいた病院の売店や自動販売機で飲食物を購入し、飲食を摂ることとしました」(神奈川県川崎市・2023年)などの掲示奴も「けしからん」と苦情を言われる現実がある。救急車のフロントガラスに「ただいま水分補給中です みなさまのご理解・ご協力をお願いします」(千葉県佐倉市)という掲示もあった。これらの地域が特別なわけでなく、多くの自治体、現場で同様の掲示がなされている。

 それにしても、この「水を飲む店員はけしからん」という人々はどこから来て、どこにいるのか。いるからこそ、それなりの数が出没するからこそ日本全国で同様の「水分補給をさせていただいております」「水分を摂らせていただきます」と現場が客に逐一、断りを入れなければならない。

 まず東京市部のスーパーマーケット、冒頭の店ではないが店長の話。

「飲むことが問題というより、飲む姿が問題のようです。いろいろなお客様がいらっしゃいますからね『私の順番になって飲み始めた』とか、『あの店員は飲み過ぎ』とか、ほんとうに難しいですよ」

 店長は言葉を選んでいたが、筆者があえて代わりに言うならストレートに「おかしな客」だろう。そんな客はほとんどいない。私たちのほとんどはそんな客ではない。むしろ「お水くらい飲んで」である。

 しかしそうでないごく一部の人がいる。これこそ本当に声が大きいというか、とんでもなく目立つ、ということか。

「本部に投書したり、ネットに書き込んだりします。とくにネットは困ります。SNSより匿名の地域掲示板とか、検索エンジンの店舗情報の口コミとかが多いですね」

 もちろん高齢者の場合は直接言ってくる。

「だからレジ内にしゃがんで水分を摂るとか、みなさん工夫してますよ。面倒なことになるからレジでは摂らない、という店員もいますね」

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