サッカーJリーグ。飲水タイムを知らせる電光掲示板。2018年(時事通信フォト)
水を摂ることの何が問題なのだろう。実際に「水を飲む奴はけしからん」なお客に話を聞いてみたいが難しそうだ。
そこで筆者のとある集まりに来ていただいている一般高齢者のみなさんに「店員が水を飲むことをどう思うか」を聞いてみた。もちろん、大半は「水くらい飲むわよね」「お水くらいいいでしょ」だったが、1名だけ意見が異なった。
「仕事だから水くらい我慢しろと思う。客の前で飲食なんて、私の世代ならありえない」
世代の問題でなく彼の問題だと思うのだが、案の定、他の方々からは「いまは時代が違う」と非難轟々であった。このように高齢者が全員そうではない、しかし、ほんとうに一部にはこうした方がいらっしゃる。別に彼をあげつらうわけでなく、実際にいる、という話である。
その中の元教員の方は「いまは時代が違う」としてこう話す。
「私たちのころは部活で水なんか絶対に飲ませなかった。炎天下でも水なんか飲んだら往復ビンタとか、追加で腕立て伏せ百回とかだった。どうしてそういうことをしたかと聞かれると困るが、そういう時代で、そういう空気で、それが許されて当たり前だった、としか言えない」
名門国立大学を出ている彼でも「なぜだかわからない」とのことで、「学の問題とかではない」とも話す。
「そういう時代の人とか、その影響がいまだに若い人にも残っているとか、そういうことだと思う。当時も生徒間で「こいつ水飲んでたぜ先生」と告げ口する生徒がいた。言い方が難しいが、そういう文化もある」
自分に関係なくとも「誰かが得をするのは気に入らない」ということか。学校の話は昔の話だが、実際に令和の日本で「水を飲む奴はけしからん」は存在している。
ずっと昔はゆるかった
関東のコンビニオーナーにも話を聞いた。
「コンビニはすぐ裏がバックヤードだから水分補給はし易いけど、面倒な客はスーパーマーケットと変わらないね。品出し中に店員があくびしたって文句言ってくる客もいるし」
客の前で見せつけるように生あくびをしたわけでもないのだから、あくびくらい許してやれと思うのだが。