永野芽郁主演のフジテレビの月9ドラマ『君が心をくれたから』。ネットメディアでは「爆死」と批判的に報じられ、SNS上でも逆風が吹いているが、そもそも「爆死」は本当なのか。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが疑問を呈する。
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1月スタートの冬ドラマが中盤から終盤に向かう中、さまざまな記事やSNSの声が飛び交っていますが、ネット上で逆風を受けているのが永野芽郁さん主演の月9ドラマ『君が心をくれたから』(フジテレビ系)。これまで下記のような批判的な記事が相次ぎ、そのコメント欄やSNSでは同調するような声があがっています。
その多くは「爆死」などの強烈なフレーズを使ったものでした。
「永野芽郁の無駄遣い?『君が心をくれたから』視聴率急降下で大爆死確定…木梨の月10ドラマにも完敗」(1月16日公開「FLASH」)
「フジテレビ月9が“8作連続”で失敗!? 2年間ヒット無しで低迷…永野芽郁でも爆死状態」(2月8日公開「週刊実話」WEB)
「永野芽郁『君が心をくれたから』まるで“不幸の幕の内弁当”…視聴者離れ深刻で「月9ワースト」更新が現実味」(2月5日公開「FLASH」)
「永野芽郁『君が心をくれたから』急落の世帯視聴率よりも『ヤバい数字』!!月9史上“No.1重いドラマ”が起こす『2つの問題』」(2月5日公開「ピンズバNEWS」)
しかし、フェアな目線から見ていくと、同作は数字・評判ともに決して“爆死”とは言えないことがわかります。そもそも“爆死”という基準はどのように生まれていて、そこにはどんな問題があるのでしょうか。
いつの何と比べた“爆死”なのか
まず前述した記事の前提になっている視聴率は、世帯、個人全体、コア(主に13~49歳)のいずれにおいても、好調とは言えないものの、冬ドラマの中で中位程度の位置付け。フェアな目線で見たら“普通”であり、決して爆死と言われるレベルではありません。
“爆死”と書くメディアは、いまだに視聴率をリアルタイム視聴が当たり前だった1990年代や、まだ配信視聴がなかった2000年代の月9ドラマと比べているのでしょう。視聴習慣がリアルタイムから録画、さらに配信へと変わった人も多く、その他にも、月曜夜から外食・習い事・ジムなどで外出する人が増えたこと、ネットで見られる他のコンテンツが増えたことなども含め、年月の経過による人々の変化をメディアが踏まえず“爆死”と書いているのです。