ましてや『君が心をくれたから』はファンタジー作だけに、常識を超えた奇跡を起こさせることも可能であり、ラストは特大級のハッピーエンドが期待できるでしょう。終盤まで「重い」物語を貫いた分、主人公が幸せをつかむクライマックスの満足度は高く、だからこそ王道の作風だったのです。
近年は制作サイドが「重い」と言われて敬遠されることを恐れ、笑いや癒しを多用した「軽い」世界観の作品に偏っていました。その意味で『君が心をくれたから』は意欲作であり、真価が問われるのは3月の終盤でしょう。実際2月に入ってからネット上には、「重いけど引き込まれる」「長崎の映像がキレイで重さをやわらげている」など称賛の声があがりやすい状況が生まれはじめています。
少なくとも“爆死”ではないことは確かであり、メディアのミスリードに惑わされず、感動を誘うであろうクライマックスや、永野芽郁さんらの熱演に注目してみてはいかがでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。