永野芽郁

本当に”爆死”なのか?(写真/ロケットパンチ)

 そんな強引な基準の背景にあるのは、「称賛より批判のほうが人々に読まれてPVが上がりやすい」「特に“爆死”などの強烈なフレーズは効果がある」というネットメディアのセオリー。とりわけ視聴者の多いテレビの中で最も認知度の高いフジテレビの月9 ドラマは、2010年代ごろから批判を浴びせられる格好のターゲットとなってきました。

 ちなみに「爆死」「歴代最低更新」などの強烈な批判を浴びせられる他のドラマ枠はほぼなく、月9ドラマは良くも悪くも特別視されていることがわかるでしょう。

見ていない人が批判記事に同調

 視聴率以外の主な指標では、『君が心をくれたから』の配信再生数やTVerのお気に入り登録数は冬ドラマのトップクラスを記録しています。同作は放送前から「シリアスな設定の物語と、休日明けの月曜という放送曜日の相性がよくないのでは」などと危惧されていただけに、「リアルタイムではなく配信で好きな時間に見ている」とみなすのが自然ではないでしょうか。

 そんな根拠が薄く、アンフェアな基準で“爆死”などの批判的なフレーズを使うメディアの姿勢と同じくらい問題なのが、それを信じて同調する人々の声。記事のコメント欄やXを見ていると、批判的な言葉を書き込んだあと、「だから一度も見ていません」「見ていないけどわかる」「1話の最初5分だけ見てやめた」などと書く人が少なくないのです。

 このようなほとんど見ていない批判ありきの人々にとっても、月9やフジテレビは叩きたくなる対象であり、批判ありきで記事を作るネットメディアとの相性は抜群。それぞれにメリットがあるため、「ネットメディアが批判記事を配信し、それを見た人々が批判コメントを付けて拡散する」という流れが加速しやすいのです。

 そもそもの問題は「見ていないのだから放っておけばいい」ことをわざわざ書いていること。逆にドラマを楽しんでいる人は、批判ありきの記事やコメントにわざわざ反論を書き込もうと思わないだけに、“爆死”などと書かれ放題のアンフェアな状況が生まれてしまっています。

「重い」からこそ終盤の感動は大きい

 また、『君が心をくれたから』に批判的な記事では「主人公が最愛の人を救うために五感を失っていく」という設定が重いという論調がよく見られますが、一面だけピックアップしたミスリードを感じさせられます。

 当作のような「重い」設定は1990年代から2000年代中盤あたりまでは連ドラの王道でした。その理由は、「重い」からこそ、主人公の切なさや一途な思いなどが表現され、視聴者は回を追うごとに思い入れが増し、クライマックスに向けてそれが貫かれることの感動が高まっていくという醍醐味があるからです。

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