講座では最初に口腔内細菌の脅威を学ぶ。例えば口腔内細菌は物凄いスピードで分裂し、1つの細胞が24時間後には281兆個になり、集合体(コロニー)を作る。それが口腔バイオフィルム(プラーク=歯垢)で、これを撃退しないことには治療をしても無駄だと理解してもらう。次に口腔内細菌が、全身に及ぼす悪影響についても事例を示しながら説明し、最後に最適な歯磨きの方法を指導する。
「歯がダメになったら、安易にインプラントにすればいいと考える患者さんがいます。しかし、せっかく入れたインプラントが口腔内細菌感染でインプラント周囲炎になってしまい、結局は抜けたり、抜かざるを得ない患者さんも増えてます」(波多野院長)
歯の表面、歯と歯の間、歯肉と歯の境目など歯垢が付きやすいところをしっかりブラッシングする。それを面倒臭がらずに習慣づけることが、口腔ひいては全身の健康をよりよく磨き上げていく──。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2024年3月8・15日号