ラジオ番組『タモリの週刊ダイナマイク』で番組パーソナリティを務めた上柳昌彦(時事通信フォト)

ラジオ番組『タモリの週刊ダイナマイク』で番組パーソナリティを務めた上柳昌彦(時事通信フォト)

 1990年スタートのラジオ番組『タモリの週刊ダイナマイク』(ニッポン放送)の年始の挨拶では、スタッフ一同を前にこんな一言を残している。

〈やる気のある者は去れ〉

「これを最初に聞いた時は膝から崩れ落ちた」と振り返る番組パーソナリティの上柳昌彦(66)は後年、タモリ自身にその真意を尋ねた。

「そうしたら、〈やる気のある奴っていうのは中心しか見ていないんだ。でも、だいたい面白いことっていうのは物事の周辺にあって、それを見るには肩の力を抜いてみないと気づけないでしょう〉ということをおっしゃっていた」

 その思想について、『タモリ学』の著書があるライター・てれびのスキマ氏が解説する。

「タモリさんは常に一歩引いた隅から、中心を観察する“傍観者”でいることを好んできた人なんですよね。幼少期から、坂の上から街行く人を観察したり、鉄工所の作業を見ていたそうです。その視点があるから、共演者のおかしさや良さにいち早く気づける」

『いいとも!』では出演者の面白さを、『ブラタモリ』では日本全国の土地の面白さを引き出す。こうして“新商品”を開拓してきたのがタモリの真骨頂である。

後編に続く

※週刊ポスト2024年3月8・15日号

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