昭和の“不適切さ”を現代の視点で描いた宮藤官九郎脚本のテレビドラマ『不適切にもほどがある』(TBS系)がもっぱら話題だが、コンプライアンスが今より遥かに緩かった昭和のテレビ番組では、今なら到底放送できないようなお色気シーンも多かった。当時の出演者が、名物番組の舞台裏を語る。【前後編の後編。前編を読む】
現役アイドルも出演する昭和のお色気番組の代表格が、1970年代から各局がこぞって放送した『水泳大会』だ。水中騎馬戦では帽子やハチマキを取り合うはずが、ブラを取ってしまってポロリ……というハプニングが“必ず”起きた。『ドキッ!丸ごと水着 女だらけの水泳大会』(1988~2003年/フジ系)でポロリした経験のあるタレントの水谷ケイが語る。
「フジの水泳大会に出演するのはグラビアタレントやモデルなど200人ほどとお笑い芸人たちで、そのなかには“ポロリ要員”と呼ばれるセクシー女優の子もいましたね。私はこういう撮影にまだ慣れていなかったので、『騎馬戦』を真剣にやっていたんです。
ところが、ダチョウ倶楽部さんたちが私のハチマキではなくビキニの水着を取ろうとするんです。私が『やめてください!』と言ったら、なぜか怒っていた。実は、当時所属していた事務所の社長と番組プロデューサーの間で話が通じていて、私はポロリ要員だったと後で知ったんです」
自分がどういう役割を求められているのかを把握した上で、「目立った方が勝ち」と考えた水谷は次回も出演した。
「ブランコから勢いをつけてプールに飛び込んで飛距離を競う『空中ブランコ』に出場しました。ビキニだと飛び込んだ時に水圧で水着が脱げちゃうんです。こういう場面では目立たないと損だと思ったので、水着がめくれるように『イエーイ!』と手を挙げて飛び込みました。その写真が東スポさんに大きく取り上げられた記憶があります。
プールに浮かぶ土俵で戦う『水上相撲』でも水着が取れやすいセクシーショットになるように自分なりに考えて水中に落ちていましたね」(水谷)
もちろん、ポロリしないために工夫していたタレントもいたようだ。
「売れているタレントたちは脱げることがないように水着がワンピースだったり、水着の内側にテープを貼ってバストトップが見えないようにしている子もいました」(同前)