芸能

『11PM』『海賊チャンネル』『トゥナイト』…「昭和の“不適切”番組」はどんな内容だったのか

約24年にわたり放送された『11PM』(左から松岡きっこ、愛川欽也、藤本義一、朝丘雪路、高樹澪、大橋巨泉)

約24年にわたり放送された『11PM』(左から松岡きっこ、愛川欽也、藤本義一、朝丘雪路、高樹澪、大橋巨泉)

 昭和の時代では、地上波のテレビでお色気要素が登場するのが当たり前だった。コンプライアンスが厳格となった現代では“不適切にもほどがある”内容であることは間違いないが、家族の目を盗んでテレビにかじりついた思い出がある人も少なくないだろう。いまや幻となった番組の数々を振り返る。【前後編の前編。後編を読む

 昭和の“不適切さ”を現代の視点で描いた宮藤官九郎脚本のテレビドラマ『不適切にもほどがある』(TBS系)がもっぱら話題だが、バブルに浮かれた時代、テレビにはお色気シーンが溢れていた。作家・コラムニストの泉麻人氏は、実家のテレビで『11PM』(1965年11月~1990年3月/日本テレビ系)をこっそり観ていた。

「当時の実家はテレビが1台しかなく、しかも茶の間にあったので、親が寝るのを見計らってこっそり観ていましたね。バニーガールの太ももを舐めるような撮り方にドキッとした覚えがあります。80年代後半にテレビのリモコンが普及してザッピングできるようになると、番組もお色気シーンで視聴者を釘付けにして、チャンネルを変えさせない作りになっていったんです」

 深夜番組の革命児として1965年にスタートしたのが『11PM』だ。

「テレビでストリップ劇場など性産業を紹介した先駆けでした。男の娯楽がキーワードで、セクシーに限らずスポーツからギャンブルまで様々なジャンルを扱いました。特に大橋巨泉が司会の回は、お色気な内容も多かった。巨泉がアシスタントの朝丘雪路の巨乳を“ボイン”と表現して、ボインという言葉が全国に広まりました。今ではセクハラになりますけどね(苦笑)」(泉氏)

『11PM』の名物企画の一つが、火曜日の「秘湯の旅」。“うさぎちゃん”と呼ばれる女性レポーターがほぼ全裸で登場した。温泉に浸かりながら、上半身を水面から出し、プラカードを持って「泉質は~」「効能は~」と紹介するコーナーだった。

 先行する『11PM』を追いかけるように1970年代にスタートしたのが『23時ショー』(1971年4月~1973年12月/NET系)、『ぎんざナイト・ナイト』(1972年10月~1974年/TBS系)、そして『独占!男の時間』(1975年4月~1977年3月/東京12チャンネル)だ。

『男の時間』は司会を山城新伍、アシスタントを女優の長谷直美が務めた生放送番組。「全国素人ストリップ選手権」や「大人のおもちゃ特集」など際どいコーナーもさることながら、上半身まる出しの半裸女性たちがスタジオ内を歩き回るという過激な作りで、当時の日本共産党・宮本顕治委員長が『11PM』と『男の時間』を名指しで批判したほどだった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト