芸能

落語ファンにはたまらない春! 落語協会100周年で、名人の貴重音源CDが登場、寄席では「百」の競演

落語ファンにはたまらない春(イラスト/佐野文二郎)

落語ファンにはたまらない春(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、今春注目を集める落語について綴る。

 * * *
 お陰さまで『週刊ポスト』2024年3月8・15日号の巻頭で8ページもグラビアを使い「東京漫才師」の大特集をやらせていただき超の付く大好評。プロの芸人達からやたら声を掛けられ「勉強になりました」との反応。今度は機会をみて「東京コント師」の歴史も探ってみたいものです。由利徹の“脱線トリオ”から三波伸介の“てんぷくトリオ”、今の“ネプチューン”まで。あっ、新しい切り口ですネ。「よろしく」と編集部にお願いしたところで今週は「落語」。

 近頃やたらテレビから私の一番好きな声のCMが流れてくる。「昭和落語名演」のCDコレクションの古今亭志ん朝である。私の心の中の名人No.1。そのリズム、テンポ、調子のよさ、様子のよさ、きれいな口跡、美しい所作。何よりその明るさが太陽の芸なのだ。

 私は作家をやりながら落語部門では立川談志の弟子なのに、実は落語史上トップ、ぶっちぎりの江戸の名人こそ志ん朝と信じきっていて、これは間違いのないところなのだ。

 このCDはシリーズで1号と2号が出たばかり。これから順次どんどん出るので、今からでも「名人入門」という方は間にあいます。私も志ん朝のCDはほとんど持っているが、このシリーズの特徴は全国のラジオ局5社にあった未発表の音源がいっぱいということ。

 1号に入っている二席が凄い。「明烏」。これは1962年3月、志ん朝の真打襲名の高座。口上の高座には正蔵(のちの彦六)、文楽、馬生(兄)が並ぶ(鈴本演芸場・ニッポン放送『演芸くらぶ』)。「富久」。1958年、夢の名人親子リレー。朝太(志ん朝)20歳、馬生30歳、志ん生68歳である。聞いてた私は10歳。これもニッポン放送の『演芸くらぶ』。ちなみに録音していたのはニッポン放送のディレクターだった志ん生の長女・美濃部美津子である。

 このシリーズで60号以上続くと書いてあり、その後には、STVホール名人会(札幌)での圓生、小さん、正蔵、馬生、圓楽、圓歌とまだまだ楽しみはタップリ。

 そしてこの師匠方が所属していた「落語協会」が100周年。3月1日から寄席では特別興行。トリは普通10日間つとめるのだが、この度は毎日日替り。100周年という事で「百」の付く噺を。上野鈴本では「百年目」をリレーで口演。この号が出る8日〈昼〉一之輔から一朝、〈夜〉一之輔から権太楼。9日は〈夜〉小満んから雲助という具合(調べてみて下さい)。3月11日からは新宿末広亭で〈昼〉は「百年目」、〈夜〉は「百川」を主任日替り口演。このあと浅草演芸ホール、池袋演芸場と続きます。祝・百周年。

※週刊ポスト2024年3月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

違法薬物を所持したとして職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(Instagramより)
〈シ◯ブ中なわけねいだろwww〉レースクイーンにグラビア…レーサム元会長と覚醒剤で逮捕された美女共犯者・奥本美穂容疑者(32)の“輝かしい経歴”と“スピリチュアルなSNS”
NEWSポストセブン
スタッフの対応に批判が殺到する事態に(Xより)
《“シュシュ女”ネット上の誹謗中傷は名誉毀損に》K-POPフェスで韓流ファンの怒りをかった女性スタッフに同情の声…運営会社は「勤務態度に不適切な点があった」
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(時事通信社/読者提供)
《動機は教育虐待》「3階建ての立派な豪邸にアパート経営も…」戸田佳孝容疑者(43)の“裕福な家庭環境”【東大前駅・無差別切りつけ】
NEWSポストセブン
未成年の少女を誘拐したうえ、わいせつな行為に及んだとして、無職・高橋光夢容疑者(22)らが逮捕(知人提供/時事通信フォト)
《10代前半少女に不同意わいせつ》「薬漬けで吐血して…」「女装してパキッてた」“トー横のパンダ”高橋光夢容疑者(22)の“危ない素顔”
NEWSポストセブン
露出を増やしつつある沢尻エリカ(時事通信フォト)
《過激な作品において魅力的な存在》沢尻エリカ、“半裸写真”公開で見えた映像作品復帰への道筋
週刊ポスト
“激太り”していた水原一平被告(AFLO/backgrid)
《またしても出頭延期》水原一平被告、気になる“妻の居場所”  昨年8月には“まさかのツーショット”も…「子どもを持ち、小さな式を挙げたい」吐露していた思い
NEWSポストセブン
初めて万博を視察された愛子さま(2025年5月9日、撮影/JMPA)
《万博ご視察ファッション》愛子さま、雅子さまの“万博コーデ”を思わせるブルーグレーのパンツスタイル
NEWSポストセブン
憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン