ビジネス

キリン氷結「成田悠輔氏起用の広告削除」は、昨今のメディアの問題をまたぞろ浮き彫りにした

3月4日からグラフィック広告に登場していたが、約1週間で削除となった(プレスリリースより)

3月4日からグラフィック広告に登場していたが、約1週間で削除となった(プレスリリースより)

 キリンビールは3月13日、缶チューハイ「氷結無糖」の広告に3月から起用していた経済学者・成田悠輔氏のネット広告を12日までに削除したと明らかにした。今回のCM起用については、成田氏の人権を軽視した過去の発言を巡ってSNSで問題視する声が上がり、不買運動が起きるなど炎上状態になっていた。「最大の炎上対策はいつも炎上しておくこと」とXに投稿していた成田氏のCM起用をめぐる今回の騒動について、人々の生活と社会の変化を記録する作家の日野百草氏が取り上げる。

 * * *
「成田悠輔さん、キリンが何を考えて使ったのか、図りかねるくらい謎の起用でした。大企業の大掛かりな広告事業、そこにいきなり成田悠輔、というのも同業として疑問です」

 広告代理店社員で現在はネットメディアを中心に担当する広告マンが語る。製作スタッフも兼務することのある彼は、発言がどうこう以前にキリンビール株式会社(以下、キリン)「氷結無糖」(以下、「氷結」)の広告に成田悠輔さんが起用されたことそのものが不思議、とまで述べた。

「キリンの広告、いくらでも出たいという著名人はいる。はっきり言ってキリンが選べる立場で、言い方が難しいですが成田悠輔さんより知名度も好感度も高い著名人はいくらでもいる。それは事実でしょう。はっきり言えば小峠英二さん、若槻千夏さんと誰もが知るタレントと来て成田悠輔さん、というのもわからない」

 広告業界は代理店、クライアント、制作会社やデザイン事務所も含めて多岐に渡る。ましてや今回のような大掛かりな広告展開ともなると一大事業である。その一大事業に、経済学者の成田悠輔さんが選ばれた。小峠英二さん、若槻千夏さんは以前からお馴染みの出演だったが、そこに成田悠輔氏。かくしてネット上、とくにSNSで数日「集団自決」というキーワードがトレンド入りするほどの大炎上となった。

「少しでもなにかあると降板、というのが広告の世界です。誰もが目にするようなメジャーな広告となるとイメージが大切です。それなのに『いろいろあった』(お騒がせ、という意味で)人の起用ですからね、この規模の広告事業、ましてキリンのような超一流企業が炎上商法でもあるまいし、本当に『不思議』です」

 実のところ、成田悠輔さんのキリンCMそのものの出演は今回が初めてではない。2022年「麒麟特製レモンサワー」のユーチューブ広告に起用されている。だが今回の主要メディア全面展開となる「氷結」は広告規模として大きなものだ。注目も度合いも違う。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平が帰宅直後にSNS投稿》真美子さんが「ゆったりニットの部屋着」に込めた“こだわり”と、義母のサポートを受ける“三世代子育て”の居心地
NEWSポストセブン
現場には規制線がはられ、物々しい雰囲気だった
《中野区・刃物切りつけ》「ウワーーーーー!!」「殺される、許して!」“ヒゲ面の上裸男”が女性に馬乗りで……近隣住民が目撃した“恐怖の一幕”
NEWSポストセブン
シンガポールの元人気俳優が性被害を与えたとして逮捕された(Instagram/画像はイメージです)
避妊具拒否、ビール持参で、体調不良の15歳少女を襲った…シンガポール元トップ俳優(35)に実刑判決、母親は「初めての相手は、本当に彼女を愛してくれる人であるべきだった」
NEWSポストセブン
「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ犯から殺人犯に》「生きてたら、こっちの主張もせんと」八田與一容疑者の祖父が明かしていた”事件当日の様子”「コロナ後遺症でうまく動けず…」
NEWSポストセブン
「グラディアトル法律事務所」の代表弁護士・若林翔氏
【改正風営法、施行へ】ホストクラブ、キャバクラなどナイトビジネス経営者に衝撃 新宿に拠点を持つ「歌舞伎町弁護士」が「風俗営業」のポイントを解説
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督からのメッセージ(時事通信フォト)
《長嶋茂雄さんが89歳で逝去》20年に及んだ壮絶リハビリ生活、亡き妻との出会いの場で聖火ランナーを務め「最高の人生」に
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン
今年3月、日本支社を設立していたカニエ・ウェスト(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストが日本支社を設立していた》妻の“ほぼ丸出し”スペイン観光に地元住人が恐怖…来日時に“ギリギリ”を攻める可能性
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《子どもの性別は明かさず》小室眞子さんの第一子出産に宮内庁は“類例を見ない発表”、守谷絢子さんとの差は 辛酸なめ子氏「合意を得るためのやり取りに時間がかかったのでは」
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン