会場を出る宮城野親方の周りにはサインを求める人だかりが
嫌がらせをして追い出すわけにはいかない
相撲ジャーリストは「この人気の高さが場所後の処遇が二転三転している理由ではないか」と話す。
春場所では同じ伊勢ヶ濱一門の玉垣親方(元小結・智乃花)が宮城野部屋の師匠代行を務めるが、4月以降の処遇は定かではない。伊勢ヶ濱一門は話し合いのうえ、宮城野親方と所属力士を別々の部屋に転籍させることを軸とした案を執行部へ提出したが、それが差し戻された。最終的な結論は場所後に出る。前出の相撲ジャーナリストが続ける。
「伊勢ヶ濱一門は執行部の顔色を見ながら、親方と力士をバラバラする方向で執行部に案を提出。ところが、執行部は“師弟が慕い、慕われる関係を築く”という考えから却下した。一門の理事となる浅香山親方(元大関・魁皇)の部屋に、宮城野部屋が丸ごと転籍する方向になってきた。
2010年に閉鎖した木瀬部屋を一門の理事だった北の湖部屋が受け入れた例を踏襲しているというが、あの時は木瀬親方(元前頭・肥後ノ海)が出身部屋の三保ヶ関部屋に転籍する予定だったのを固辞したことで、木瀬親方を可愛がっていた北の湖親方が引き受けるかたちになった。
今回の事情は、別のところにあるだろう。執行部が次に何か白鵬が不祥事を起こしたら退職に追い込むつもりなのはたしかだが、今も白鵬に高い人気がある以上、部屋をバラバラに解体するなど露骨なことをやると協会が責められることになりかねない。スター不足の角界ですから、協会が嫌がらせをして人気者の白鵬を退職に追い込んだ、というかたちにはできないのでしょう」
ネット上では大阪の相撲ファンが立ち上げた宮城野部屋の閉鎖に反対するオンライン署名も展開されている。春場所会場でサインを求めて駆け寄るファンたちがいるという現実もまた、今回の騒動の行方を混沌とさせているのかもしれない。