二階俊博・元幹事長(時事通信フォト)
反省どころか犯人捜しに躍起
報道のタイミングも絶妙だった。
産経新聞のニュースサイトが、懇親会での「過激ダンスショー」の動画を切り取った写真入りで第一報を出したのは3月8日、折しも、参院政治倫理審査会で世耕氏らに出席を要請するかの議決が行なわれる日だった。報道を受けて参院政倫審は全会一致で世耕氏らへの出席要請を決定した。
だが、懇親会は昨年11月18日に開かれ、メディアの記者も参加していなかった。なぜ4か月も経ってから動画が流出したのか。懇親会の“主流派”である二階派と安倍派では、反省どころか犯人捜しに躍起になっている。
和歌山の地方議員の1人は「仕掛けたのは二階派サイド」という見方だ。
「産経が報じた写真にはモザイクがかかっていたが、口でくわえたチップのお札をダンサーに渡していたのは世耕先生の代理で出席していた秘書です。ダンサーを呼んだ県議も世耕先生の元秘書で、2人がピンポイントで狙われたことから、仕掛けたのは世耕先生を追い落としたい二階系の出席者だといわれています」
本誌・週刊ポストは二階氏に近い自民党和歌山県議の藤山将材氏から懇親会の画像流出の経緯にかかわる重要な証言を得た。
「あのハレンチ懇親会は地元では直後から問題になっていました。去年の12月末頃、懇親会の一連の動画を入手した人物から私に、『けしからん、何しとるんだ』とお怒りの連絡がきた。『(マスコミに)言うたる、鉄槌を下すんや』と言う。ちょうど政治とカネの問題が炎上し出した頃で、こんなものが世に出たら自民党は無茶苦茶になってしまう。
そこで私は、責任者の川畑県議の県青年局長辞職を条件に、収めてほしいとお願いして止めてもらった。ところが、川畑県議は辞めようとしない。今年2月には世耕先生の事務所の方に動画を見せて川畑県議の辞職を促してほしいと頼んだが、結局世耕先生は動いてくれなかったようで、辞めなかった。3月に入り、これが最後と直接辞任を求めたが、『職責を全うする』という返事が返ってきた。そうしたら記事が出たわけです」
懇親会動画流出の背景に県連内部の二階派と安倍派とのドロドロの対立があると窺える。