スポーツ

【高校野球常勝軍団・大阪桐蔭】強さを支えるスカウトの裏側「2~3年後を見据えて声をかける」「中学時代の1イニングを見逃さずコンバート」

大阪桐蔭の強さの秘密とは(西谷浩一監督)

大阪桐蔭の強さを支えるスカウトの秘密(西谷浩一監督)

 現在、開催中の選抜高校野球大会で、歴代最多勝利まで「あと1勝」に迫るのが大阪桐蔭の西谷浩一監督(54)だ。春夏連覇を達成した2012年を黄金時代のスタートとすると、10年以上も“一強時代”を続けてきた大阪桐蔭。全国から有望中学生が越境入学で集まることに対しては「選手を集めすぎ」と批判されることも──。大阪桐蔭の強さについて。ノンフィクションライターの柳川悠二氏がリポートする。【全3回の第2回。第1回から読む】(文中敬称略)

 * * *
 大阪桐蔭の強さは、全国の有望選手を片っ端から集めているからなのか。私はそうした短絡的な意見に強い抵抗を覚える。3年後のチームを見据えて声をかけるからこそ、常勝軍団たりえるのだ。西谷が指導者人生をスタートした1990年代、大阪の盟主はPLだった。西谷は目の上のたんこぶであったPLを反面教師に、選手間の上下関係を桐蔭では廃止。学年に関係なく横一線の競争を煽った。

 西谷が監督となって間もない頃、PLへの入学を希望しながら、スカウトのお眼鏡にかなわず、大阪桐蔭に入学した球児がいた。奈良の郡山シニアにいた西岡剛(元ロッテほか)だ。西谷が述懐する。

「西岡のいた3年間は、PLに一度も負けていないと思います。選手の加入において、確かにその頃から風向きはうちに有利になりましたが、だからといってその後もPLは強かった。追いかける存在であることに変わりはありませんでした」

 2000年代に入り、PL学園は不祥事が頻発し、母体であるPL教団の衰退もあって力を失っていく(2016年に活動停止)。かくして盟主の座は交代し、西谷は春12回、夏10回の甲子園出場を果たし、わずか13敗しか喫していない。8回の全国制覇で、勝率は驚異の8割超え。勝利よりも、敗れたゲームのほうがニュースになるのは大阪桐蔭ぐらいだ。

 いつしか強すぎる大阪桐蔭は甲子園の「嫌われ役」と化した。基本的に地元の近畿勢に対して温かい声援を送る甲子園のファンも、大阪桐蔭にリードされた対戦校にエールを送り、甲子園に判官贔屓モードを創出する。

 西谷監督は練習を見ずに選手勧誘で全国を飛び回っている──そんな声も飛び交っている。確かに中田翔(34、現中日)を勧誘するために、広島まで幾度も通った逸話も残るし、狙った獲物に対して西谷は労を惜しまない。

関連記事

トピックス

サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
皇室に関する悪質なショート動画が拡散 悠仁さまについての陰謀論、佳子さまのAI生成動画…相次ぐデマ投稿 宮内庁は新たな広報室長を起用し、毅然とした対応へ
女性セブン
定年後はどうする?(写真は番組ホームページより)
「マスメディアの“本音”が集約されているよね」フィフィ氏、玉川徹氏の「SNSのショート動画を見て投票している」発言に“違和感”【参院選を終えて】
NEWSポストセブン
スカウトは学校教員の“業務”に(時事通信フォト)
《“勧誘”は“業務”》高校野球の最新潮流「スカウト担当教員」という仕事 授業を受け持ちつつ“逸材”を求めて全国を奔走
週刊ポスト
「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
2人は互いの楽曲や演技に刺激をもらっている
羽生結弦、Mrs. GREEN APPLE大森元貴との深い共鳴 絶対王者に刺さった“孤独に寄り添う歌詞” 互いに楽曲や演技で刺激を受け合う関係に
女性セブン
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン