ウクライナ軍の陸地に向けて攻撃を仕掛けるロシア軍(写真=Sputnik/共同)

ウクライナ軍の陸地に向けて攻撃を仕掛けるロシア軍(写真=Sputnik/共同)

兵力増員の大統領令に署名

 選挙で信任を得たプーチンが、例えば5期目の任期がスタートする5月7日の直後、動員のギアを上げる可能性も排除はしません。ただ、兵力を150万人まで増員する大統領令に近く署名し、2025年いっぱいをかけて実現させるというのが現実的な見立てではないか。

 今後、米大統領選の行方とともに注視すべきは、北朝鮮とイランの存在でしょう。2国が現状のロシア優位を支えている側面があるからです。

 国連常任理事国であるロシアは、こと核ミサイルについては両国に制裁をかけ、あるいは非核化を議論する立場にありながら、戦争で事欠いて北朝鮮から実に約100万発もの弾薬を調達したとされている。イランからは自爆ドローンや榴弾砲を調達しているようです。

 ロシアとこの2国との緊密化は過去に例のない水準に達しており、新たな「悪の枢軸」の結びつきにも映ります。しかし、その関係は同盟ではなく、国益に反すればすぐに離反するような脆さを孕む。2国に対し、ロシアへの援助はデメリットしかないと示すことが、抑止への近道となります。

 例えば現在、北朝鮮からの弾薬の輸送は海上自衛隊と海上保安庁が連携して監視を強化している。米国ではロシアの経済パートナーに対して二次制裁が議論されているが、G7が足並みを揃えることが重要です。

 地道なウクライナ支援を継続することも、日本周辺における力による現状変更の試みを抑止する手段になるでしょう。

【プロフィール】
小泉悠(こいずみ・ゆう)/1982年、千葉県生まれ。軍事評論家。専門はロシアの軍事、安全保障。著書に『「帝国」ロシアの地政学』『ウクライナ戦争』など。近著に『オホーツク核要塞』。

※週刊ポスト2024年4月5日号

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