伊勢ヶ濱部屋の厳格な掟
しかも、宮城野親方がスカウトした力士のなかには、尊富士と日大の同期で、学生横綱を獲得して幕下付け出しデビューした輝鵬もいる。
「結果として前相撲からスタートした尊富士が新入幕優勝したのに対し、輝鵬は靱帯再建手術による休場で三段目に低迷中。立場は完全に逆転した。大学時代はスターだった輝鵬が無名だった尊富士の付け人になる可能性さえある。部屋の合併はストレスある環境を生んでトラブルにつながりやすいが、今回はとりわけややこしい」(前出・古参力士)
そうしたなか、宮城野親方がどう振る舞うかだ。
「伊勢ヶ濱親方は気難しいことで知られ、所属力士・親方は師匠の許可がないと何もできない。部屋付き親方は新米を除けば、朝稽古にも顔を出さないのが一般的だが、伊勢ヶ濱部屋ではまわしを締めて参加する。一昨年、独立した安治川親方(元関脇・安美錦)もその方針に従っていた。白鵬は流石に免除されるのかもしれないが、何をするにも伊勢ヶ濱親方の許可が必要になるでしょう。白鵬はそれにどこまで従うのか」(前出・ベテラン記者)
尊富士にとっての理想の所属部屋に、いくつもの“火種”が生まれたことだけはたしかだ。
◆週刊ポスト2024年4月12・19日号