日馬富士一覧

【日馬富士】に関するニュースを集めたページです。

貴乃花部屋の歯車はどこで狂ってしまったのか(時事通信フォト)
相次ぐ弟子たちの不祥事 名門「貴乃花部屋」はどこで道を間違えたのか?
【NEWSポストセブンプレミアム記事】 またも、四股名に「貴」がつく力士の不祥事──ガチンコの中のガチンコと言われた師匠である貴乃花親方が協会を去って3年。弟子たちはなぜ、次々と角界から姿を消してゆくことになるのか。貴乃花部屋の歯車は、どこで、どう狂ってしまったのか。稽古量はケタ違い 名古屋場所は横綱・白鵬の復活V、準優勝した照ノ富士の横綱昇進で幕を下ろしたが、千秋楽の2日後、事件は発覚する。十両・貴源治の大麻使用が判明したのだ。 尾車親方(元大関・琴風)の聞き取りに一度は否定した貴源治だったが、尿検査で陽性反応が出た後の再聴取には「路上で大麻たばこを1本吸った」と認め、協会は警視庁に通報。「過去の例からして解雇は免れない」(担当記者)とみられている。 貴源治の入門時の師匠である貴乃花親方が協会を去ったのは2018年9月。横綱・日馬富士が、貴乃花部屋所属の貴ノ岩に暴力を振るった“鳥取事件”を巡り、執行部と激しく対立した末のことだった。 協会内で冷遇された貴乃花親方は弟子たちを移籍させ、自身は退職する道を選んだ。「執行部に頭は下げられないが、弟子の将来を考えて……」という願いが垣間見えたが、その後、元弟子たちは次々と不祥事を起こす。 貴ノ岩は2018年冬巡業で、忘れ物をした付け人を殴ったことが発覚して引退。2019年9月には、貴ノ富士が新弟子に暴力を振るい、「障害者」などと暴言を吐いたことが明らかになった。自主退職を促されると、会見を開いて「処分が重すぎる」と訴える騒動に発展し、最後は引退届を郵送で提出した。 そして今度は、貴ノ富士の双子の弟である貴源治の大麻使用だ。 彼らがかつて所属した「貴乃花部屋」──。 そのルーツは、土俵の鬼といわれた初代若乃花が引退後の1962年に興した二子山部屋にある。「汗が出なくなるまで稽古する」という厳しい指導のもと、2人の横綱を輩出し、初代若乃花の実弟である初代貴ノ花も大関まで昇進した。“角界のプリンス”と呼ばれた初代貴ノ花が、貴乃花親方の父である。引退後の1982年には藤島部屋を興し、後に“若貴ブーム”を巻き起こす2人の息子が入門したのは1988年のことだ。 藤島部屋のおかみだった藤田紀子(当時は花田憲子)さんが振り返る。「息子が入門して大変なことはたくさんありました。親方(初代貴ノ花)も、稽古場で厳しく叱るのはまず我が子と決めていたようだし、おかみとしてのケアも、えこひいきしていると思われないよう、息子以外の力士たちに手厚くなければならなかった。そうしたなか、息子2人は稽古量が違いました。夜中に稽古場で音がするので見に行くと、黙々と四股を踏んでいたこともあった」 兄である三代目若乃花とともに横綱となった貴乃花は、優勝22回を数える「平成の大横綱」となる。2003年に引退すると、その功績から一代年寄を襲名し、「貴乃花親方」となる。翌2004年には父の部屋を継いで「貴乃花部屋」が生まれた。そこからの歩みは、実に浮き沈みの激しいものだった。「この部屋から横綱を出す」 初代貴ノ花の藤島部屋は、1993年に初代若乃花が定年退職したことに伴い、“吸収合併”のかたちで二子山部屋となっていた。「そもそも、この部屋を継ぐのは貴乃花親方ではなかったかもしれない」 そう振り返るのは、当時の後援会幹部だ。「当初、二子山親方は長男の(三代目)若乃花に部屋を継がせたかった。二子山部屋を後世に残し、次男の貴乃花は一代年寄として貴乃花部屋を興せばいいという考えでした。ところが、貴乃花の“洗脳騒動”などもあって、若貴兄弟の仲に亀裂が入り、2000年に若乃花が強引に廃業。貴乃花にすれば、部屋を出て独立するつもりが、自分が継ぐしかなくなってしまった」 思い描いた船出とは違ったが、この頃の貴乃花親方は前を向いていた。2006年には本誌の取材に、「日々手探り状態で指導を続けている」としながらも、今後の夢を聞かれると、「貴乃花部屋から横綱を出すことに尽きます」と高らかに宣言。 そのうえで、「部屋を継いでから5年以内に関取を出すと宣言したのですが、早くも2年が経ちました」というジリジリとした思いも口にした。 結果的に、貴乃花部屋の“関取第一号”は2012年7月場所に十両へ昇進した貴ノ岩。部屋を継いで8年が経っていた。前出の後援会元幹部が語る。「親方自身、中学卒業後に藤島部屋に入門したこともあり、高校に3年間通うくらいならすぐ角界に飛び込んだほうがいいという考えが基本だったと思う。部屋には相撲強豪の埼玉栄(貴景勝)や鳥取城北(貴ノ岩、貴健斗)出身者もいるが、基本的には中卒から預かる。貴源治と貴ノ富士も中卒での入門だった。関取の輩出まで8年かかったのは、そういったこだわりもあったためでしょう」 弟子たちが少しずつ育ち始めるとともに、貴乃花親方は角界の改革にも動き出す。2010年2月の理事選の「貴の乱」だ。「一門を越えた結束が必要」 2年に1度の理事選は、5つある一門が年功序列で事前に候補者を調整する“無投票”が長く続いていた。そうしたなか、貴乃花親方は二所ノ関一門を飛び出し、37歳の若さで理事選に出馬する。「当選ラインに届かないとみられていたが、当時の安治川親方(元幕内・光法)や立浪親方(元小結・旭豊)が一門の意向に反して貴乃花に投票し、当選を果たした」(同前) その余波は大きかった。 無記名投票の“造反者狩り”だ。所属する一門の意向に逆らったことが判明した安治川親方は廃業危機に追い込まれ、本誌の直撃に「辞めたくない。今の一門に残れればいいが……」と絞り出すように答えていた(その後、名跡交換などを経て貴乃花部屋に移籍)。 無傷では進めなかったが、改革には勢いがあった。貴乃花親方は理事選の3か月後にはすでに、「相撲界を変えるには、一門を越えて結束した親方衆の絶対数が必要なんです」と訴えていた(週刊ポスト2010年5月21日号)。 その後も4期連続で理事当選を果たし、2014年には協会が正式に「貴乃花一門」を認める。後に関取となる貴景勝(2014年入門)、貴源治、貴ノ富士(2013年入門)が加わるなど、部屋は活気づいていた。 ただ、そこに少しずつ影が差し始めるのも、この頃のことだった。大鵬と北の湖の死 大きな転機は、2015年11月場所中に北の湖理事長が亡くなったことだ。 部屋の所属力士の大麻使用で一度は辞任した北の湖親方が、理事長に復帰したのは2012年のこと。そのタイミングで貴乃花親方は、大阪場所部長の要職に抜擢される。時の理事長が後ろ盾となったこともあり、「貴シンパの若手親方は一門を越えた新勢力として広がりを見せ、その数は全親方の半数に迫っていた」(協会関係者)とされる。 その北の湖理事長が亡くなり、後任として八角親方(元横綱・北勝海)が理事長に就任。反貴乃花派の一門に支えられて権勢を振るうようになり、潮目は大きく変わった。 前後して、貴乃花親方を支える人たちが亡くなったり、協会を追われたりしたことも大きかった。「貴の乱」での貴乃花親方の集票をサポートした元横綱・大鵬は2013年に亡くなり、2015年6月には貴乃花部屋付きの親方だった元大関・貴ノ浪(当時の音羽山親方)が43歳の若さで急性心不全により死去。貴乃花親方は後ろ盾と部屋の番頭格を失った。「貴の乱の直後に発覚した野球賭博事件で、元関脇・貴闘力(当時の大嶽親方)と大関・琴光喜が解雇されたことも大きい。貴闘力は側近だし、琴光喜も理事選で貴乃花親方に票を投じていた。当時から〝貴シンパだから重い処分になった〟と言われており、貴乃花親方は理事会で琴光喜の処分軽減を進言し、受け入れないなら協会を去ると退職願まで出したが、聞き入れられなかった」(同前) そうして櫛の歯が欠けるように、周囲から人がいなくなっていった。 そして、2017年11月場所前の秋巡業で“鳥取事件”が起きる。 モンゴル出身力士の会合で、日馬富士が貴ノ岩を殴ったことが明らかになると、貴乃花親方は協会の対応を批判。日馬富士は引退するが、貴乃花親方も理事を解任される。 周囲と相談せずに強硬姿勢を貫いたことから、2018年2月の理事選では貴乃花一門が当時の阿武松親方(元幕内・益荒雄)を担ぎ、貴乃花親方は落選。それ以降も、内閣府に告発状を送るなど過激な行動を続けた。 そんななか、弟子による「最初の暴力事件」が起きた。 2018年3月、貴公俊(後の貴ノ富士)が付け人を殴る事件が発覚。暴力を批判しながら、自らの弟子が暴力沙汰を起こし、貴乃花親方は窮地に陥る。協会からは降格処分を受け、6月には貴乃花一門が消滅。その3か月後、協会を退職した。 在職中には「相撲界を去る力士や行司らのセカンドキャリア支援」「地域密着型の部屋運営」など様々な改革を掲げたが、実を結ぶことはなく、弟子たちも恩を仇で返すような不祥事を繰り返した。どこで歯車が狂ったのか。 相撲部屋の運営は、決して簡単ではない。藤田紀子さんは自身の経験からこう振り返る。「稽古場と協会のことは親方の仕事ですが、若い衆の教育、私生活の指導はおかみさんと2人での仕事になる。血気盛んな子供たちですから、一時も目を離せない。厳しい稽古を我慢ができても、私生活の部分では我慢できないことも多い。不満を聞き取るのがおかみさんの仕事で、そのためには24時間一緒に生活しないといけない。これは相撲部屋にとっては大きいと思います」 紀子さんは、「貴乃花部屋の立ち上げ時には親方(初代貴ノ花)と離婚していたので、内情は分からない」とするが、示唆に富む言葉だ。 2004年に部屋を継承した時、中野新橋の部屋にはまだ、先代である初代貴ノ花が暮らしており、貴乃花親方は五反田の自宅からの“通い”で弟子を指導した。先代が亡くなった後も、貴乃花親方だけが中野新橋に住み込み、おかみの景子さんは五反田から部屋に通う生活だった。紀子さんが言う。「貴乃花は先走りすぎて角界を去ることになりましたが、部屋では弟子たちに目が行き届いていなかったのではないでしょうか。そんな言い方しかできません。親方が熱心に相撲道と技術を教えたとしても、その目が届かないところでいろんなことが起きている。みんなヤンチャで、力も有り余っています。誰にでも悪い心はある。親方とおかみさんが二人三脚で、それを出させない環境を作らないといけないんです。その歯車が少し狂えば、いくらでも綻びが出る」相撲部屋“合流”の弊害 貴乃花部屋の消滅後、所属力士は、千賀ノ浦部屋(現・常盤山部屋)に移ったが、この部屋もまた、「所属する弟子が先代(元関脇・舛田山)時代からの弟子と、現親方(元小結・隆三杉)がスカウトしたグループに分かれており、そこに旧貴乃花部屋の力士が加入した」(前出・担当記者)という複雑な事情を抱える。 藤島部屋と二子山部屋の合併を経験している紀子さんはこう言う。「2つの部屋が一緒になるのは大変で、弊害が多い。ずっと一緒にやってきた家族の中に他人が入ってくるわけですから。それまでの環境や相撲への向き合い方が違い、藤島部屋のカラーに染めるのは難しかった。どうしても軋轢が生まれます」 部屋のなかに分断があれば、ストレスや対立関係から不祥事にもつながりやすい。「貴乃花が弟子たちを常盤山部屋に預けたのはやむにやまれぬ事情だろうけど、受け入れる側も大変だったはず」(同前) 常盤山部屋に残る旧貴乃花部屋の関取は、大関・貴景勝と今年1月場所に十両昇進を果たした貴健斗だけ。彼らはこれから、どんな道を歩むのか。※週刊ポスト2021年8月13日号
2021.07.28 16:00
週刊ポスト
返り咲き大関は居座り横綱にどんな波紋を!?(写真/共同通信社)
照ノ富士と白鵬の間に大きな壁 4年前の「土下座事件」の遺恨
 一度は序二段まで番付を下げながら、3月場所で優勝を果たし、見事に大関復帰を決めた照ノ富士。膝の故障に苦しんで長く低迷したが、その“元凶”ともいえる事件を起こしたのは、同郷の先輩横綱だった。7月場所に進退を懸ける横綱・白鵬と、土俵上でついに4年越しの怨念がぶつかり合う──。 3月場所は、番付上位のモンゴル勢の明暗がくっきりと分かれた。 関脇・照ノ富士は3度目の優勝を果たし、3年半ぶりとなる大関復帰を決めた。平幕以下に転落してから大関に返り咲き、“2度目の伝達式”を経験するのは、1977年初場所後の魁傑以来、44年ぶり2人目となる。「2017年9月場所で大関から陥落し、翌場所も初日から4連敗して5日目から休場。そこからは坂道を転げ落ちるように負け越しと休場を繰り返し、2019年3月場所では序二段まで落ちた。ほとんど観客のいない時間帯に元大関が相撲を取るなんて、前代未聞です。そんな屈辱的な状況から、幕内、そして大関まで返り咲いた照ノ富士の土俵への執念には、凄まじいものがある」(後援会関係者) その一方、3月場所11日目にはモンゴル出身の先輩にあたる横綱・鶴竜が引退を決断。一人横綱となった白鵬も、現役続行の瀬戸際を迎えている。「長く角界最強の座にあった白鵬だが、3月場所は初日から2連勝したものの右膝のケガで3日目から休場。場所中に膝を手術して復帰は7月場所になり、これで6場所連続休場です。次の本場所の土俵で結果が出せなければ、いよいよ引退に追い込まれることになるだろう」(協会関係者) 3月場所の千秋楽翌日に開かれた横綱審議委員会の定例会では、白鵬に対して、昨年11月場所後に出した「注意」の決議が継続されることが決まった。「引退勧告」に次ぐ2番目に重い決議だ。 ただ、「白鵬はまだ現役続行に自信を持っている」とする声がある。若手親方がいう。「本人は15日間出場すれば優勝できると考えているだろうし、“7月場所は最低2ケタ勝てば現役続行に問題なし”といった認識で、まだまだ延命するつもりではないか」 たしかに、3月場所の大関陣の体たらくを見れば無理もないかもしれない。朝乃山と貴景勝が10勝5敗、正代に至っては7勝8敗と負け越して来場所はカド番となる。 そうしたなか、白鵬の“延命計画”に待ったを掛ける存在となりそうなのが、照ノ富士なのだ。「12勝3敗で3月場所を制し、“今度こそ横綱昇進”を狙うのだから、打倒・白鵬の筆頭格になるのは当然ともいえるが、それ以外にも照ノ富士には対白鵬戦に執念を燃やす理由がある。約4年前の“事件”の因縁です。7月場所では、いよいよ土俵上で決着がつくことになると、関係者の注目を集めています」(同前)「壁があるので」 その“事件”とは、モンゴル力士グループの人間関係に、決定的な亀裂を生じさせた2017年10月の「日馬富士暴行事件」である。「もともと、同じモンゴル勢のなかでも、玉鷲や逸ノ城ら、白鵬と距離を置いている力士はいたが、この事件をきっかけに、グループ内における世代間対立の構図がくっきりと浮かび上がった。事件の経過を辿ると、白鵬と照ノ富士の2人の間にも、大きな“壁”があることがよくわかる」(ベテラン記者) 2017年9月場所後の鳥取巡業を控えた10月25日夜、地元の相撲強豪校・鳥取城北高校の関係者と力士たちの食事会が開かれた。参加したのは白鵬、日馬富士、鶴竜の3横綱(当時)、鳥取城北OBである照ノ富士、貴ノ岩、石浦の関取衆3人を含む計13人だった。食事会は3時間以上続き、二次会の席での日馬富士による貴ノ岩への暴行が、角界を揺るがす大事件に発展した。「スマホをいじっていた貴ノ岩が咎められ、カラオケのリモコンなどで日馬富士に殴打されました。貴ノ岩の師匠である貴乃花親方(当時)が警察に被害届を出し、協会内は大混乱に陥った。日馬富士は責任を取って廃業。その後も、火消しに躍起になる八角理事長(元横綱・北勝海)と、うやむやに済ませることを拒んだ貴乃花親方の対立が先鋭化。結果的に、貴乃花親方は翌年、協会を退職するに至った」(同前) この一件は「日馬富士が貴ノ岩を殴った事件」として記憶されているが、照ノ富士も現場で“被害”に遭っている。前出の協会関係者がいう。「これは単なる力士同士のケンカなどではなく、白鵬を頂点としたモンゴル力士グループの歪な“支配構造”が元凶となった事件でした。白鵬や日馬富士が、貴ノ岩や照ノ富士ら後輩を締め上げるという構図です」 当時、協会がまとめた調査報告書にも、照ノ富士が現場で受けた仕打ちについて記されている。 それによれば、日馬富士は照ノ富士を正座させたうえで、「稽古に気合が入っていない」などと説教。何かあるかと問われた照ノ富士が「横綱、自分たちは思っていることは言えないんで。壁があるので」と答えると、日馬富士が頬を張り、照ノ富士は一言、こう応じたという。「ごっつぁんです」 これだけでも、同郷というだけでそこまでの“上下関係”があるのかと驚かされるが、さらなる問題を指摘するのは、前出の若手親方だ。「当時、貴乃花親方サイドは、協会のまとめた報告書が“貴ノ岩の印象を悪くしようとしている”“白鵬に不利にならないように事実と異なる記載をしている”などと問題視して、独自に意見書を作成して協会に提出している。意見書は貴ノ岩ら“被害者側の立場”に立った内容になっていた。それによれば、『壁があります』といった照ノ富士に対して、白鵬が『何が壁だこら。土下座しろ』と応じて、膝の故障を抱える照ノ富士を正座させて説教したというのです。膝が痛む照ノ富士は正座が続けられず、途中から膝立ちの状態で叱責を受けていた。日馬富士と貴ノ岩は角界を去りましたが、今も現役を続ける白鵬と照ノ富士の間には、その時からの因縁があるわけです」 膝のケガを抱える照ノ富士が、事件当夜の“正座強要”のあと、故障が思うように回復せず、番付をどんどん下げていったのは前述の通りだ。今なお、照ノ富士は両膝に分厚いサポーターを巻いて、土俵に上がっている。年寄株も渡さない 事件の余波は大きかった。照ノ富士の師匠である伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)も、加害者である日馬富士の師匠だったため、監督責任を問われた。当時は協会の理事で、一門の統帥の立場にあったが、2017年11月場所後の臨時理事会で自ら理事職の辞任を申し出て、2階級降格となった。翌年の理事選は出馬断念に追い込まれ、元横綱でありながら理事長レースで大きく後退した。「日馬富士だけでなく白鵬にも責任があるはずなのに、自分の弟子だけが廃業に追い込まれた伊勢ヶ濱親方の苦悩は相当なものだっただろう。だからこそ、白鵬の年寄株問題を巡っては、意趣返しのような状況も生まれている」(前出・ベテラン記者) 力士が引退後も協会に残るためには年寄株が必須だが、白鵬は襲名できる株が調達できていない。横綱経験者は5年間、現役名のまま協会に残れる特例があるものの、取得できないまま期限を迎えれば、その時点で退職しなくてはならない。「だからこそ白鵬は株の調達を急いでおり、狙いとなるのは定年退職者。現在の協会では65歳から5年間の雇用延長が認められているが、今年5月までに70歳を迎える親方が4人いる。そのうちのひとりが伊勢ヶ濱部屋の桐山親方(元小結・黒瀬川)です。白鵬が所属する宮城野部屋も同じ伊勢ヶ濱一門だから、この株が回ってきそうなものなのだが、難しいとみられている。部屋を仕切る伊勢ヶ濱親方との因縁もあるし、日本国籍取得の意向を明らかにして協会に残ろうとしている照ノ富士か、幕内の宝富士が、部屋の後継者候補として株を継ぐのではないか。白鵬にすれば後輩で格下の照ノ富士が、自分より先に年寄株の手当てができることになり、心中穏やかであるはずがない」(同前) 白鵬と照ノ富士の最後の対戦は、暴行事件前の2017年5月場所に遡る。その時は白鵬が勝利したが、それ以来となる次の7月場所の取組では、互いの怨念が正面からぶつかり合うことになる。※週刊ポスト2021年4月16・23日号
2021.04.06 16:00
週刊ポスト
照ノ富士が白鵬「あの殴打事件」の恨みを4年越しで晴らす
照ノ富士が白鵬「あの殴打事件」の恨みを4年越しで晴らす
 大関に返り咲いた照ノ富士と白鵬には浅からぬ縁がある。ともにモンゴル・ウランバートル市出身であることはもちろんだが、実は照ノ富士はモンゴル時代、白鵬の父であるジグジドゥ・ムンフバト氏に柔道を習っていた。ムンフバト氏はモンゴル相撲の国民的英雄であり、白鵬は裕福な家庭で不自由なく育ったわけだが、照ノ富士も同じように恵まれた家庭環境で育ち、二人とも学業も優秀で、母国にいればエリート街道を歩んだであろう「お坊ちゃん」だった。 そんな二人だが、土俵の上では過去4年間、すれ違いが続いている。初対戦は2014年九月場所で、すでに横綱だった白鵬が前頭1枚目の照ノ富士の挑戦を退けて以来、白鵬の9勝4敗の戦績が残っているが、最後の対戦は2017年五月場所にさかのぼる。照ノ富士はすでに大関に昇進していたが、14日目に優勝争いの相手だった白鵬に直接対決で敗れて準優勝に終わった(白鵬が優勝)。 その場所後に照ノ富士は左膝の遊離軟骨を除去する手術を受け、その回復が思わしくなかったために転落が始まった。4場所連続の途中休場、その間に17連敗を喫し、十両陥落してしまったために、番付の頂点にいる白鵬と対戦することはなかったのである。その後、2019年三月場所で序二段まで番付を下げた照ノ富士は、そこからようやく復調して快進撃を続け、2020年七月場所で再入幕を果たす。 この場所で照ノ富士はいきなり優勝するのだが、前頭17枚目だったために終盤まで白鵬との対戦は組まれず、その白鵬は13日目から休場してしまったために相まみえることはなかった。そこからは白鵬の「休場街道」が続いたために(今年三月場所は2日間だけ出場したが)、現役の横綱と大関が丸4年間対戦していないという珍事が起きたのである。 すでに五月場所の休場を表明している白鵬と「再大関」の照ノ富士が激突するのは七月場所になる。横綱・大関戦だから、終盤まで両者が休場も引退もしていないことが条件だが、対戦があるとすれば優勝争いに絡む一番になることはほぼ間違いないし、白鵬にとっては、もし敗れれば世代交代を認めざるを得ないだろうから、引退をかけた一番にもなる可能性が高い。二人の因縁を考えても角界史に残る大一番である。 照ノ富士は今から手ぐすね引いてその瞬間を待っているはずだ。『週刊ポスト』(4月5日発売号)が詳報しているが、照ノ富士の転落と復活には、実は白鵬が起こした「重大事件」が深く関係していたからである。 2017年に照ノ富士が膝を手術したのち、上記のとおり七月場所、九月場所と連続して途中休場を余儀なくされた直後の10月、その事件は起きた。ご記憶の読者も多いだろうが、白鵬、日馬富士、鶴竜の3横綱と後輩モンゴル力士らの食事会の席で、日馬富士が前頭だった貴ノ岩に暴行し、責任を取って廃業するという不祥事だ。事件のきっかけを作ったのは白鵬だった。酒を飲んで貴ノ岩に説教し、その際に貴ノ岩がスマホをいじったことに激高した日馬富士が、素手やカラオケのリモコンで貴ノ岩を殴打した。 事件は「日馬富士が貴ノ岩を殴った」という部分ばかりが強調されているが、その場にいた照ノ富士も、白鵬や日馬富士から厳しく指弾されていた。 本誌記事で詳報しているが、事件現場で「横綱たちとは壁がある」と口にした照ノ富士が受けた仕打ちや、4年に及ぶ塗炭の苦しみにつながった仕打ちを照ノ富士が忘れたはずはない。 「照ノ富士は下半身強化をして4年前よりパワーアップしている。192センチ、177キロの照ノ富士は192センチ、158キロの白鵬と20キロ近い差がある。ともに右四つを得意とする相四つだ。白鵬はカチ上げや張り差しを狙うだろうが、照ノ富士もひるむことなく、がっぷり四つとなるだろう。これまでの対戦では、同じ部屋にいた日馬富士の弟弟子であり、モンゴル出身の後輩という立場で白鵬と対峙していた。それが事件を経て、ついに初めて白鵬に遠慮なく全力でぶつかることになるのではないか。これまでの対戦成績は関係ないでしょう」(協会関係者)  暴行事件の背景には、貴ノ岩が「これからは俺たちの時代だ」と豪語していたと白鵬が聞きつけて腹を立てた経緯があった。照ノ富士は、七月場所で白鵬に勝って引導を渡し、「俺たちの時代」をたぐり寄せることができるか。
2021.04.06 07:00
NEWSポストセブン
4場所連続休場の横綱・鶴竜に厳しい視線(写真/共同通信社)
コロナ無関係休場の鶴竜に元横審委員長「辞めてもらうしかない」
 1月10日に初日を迎えた大相撲初場所は、十両以上の16人を含む65人の力士が休場となった。 場所直前に横綱・白鵬の新型コロナ感染が判明すると、協会は全協会員へのPCR検査を実施。九重部屋、友綱部屋の力士らが陽性となり、それ以前に感染が判明していた部屋を含め、全力士665人の約1割にあたる力士が休場に追い込まれたのだ。「出場力士が少ないから取組開始は通常より1時間以上遅く、十両の土俵入りは東西に9人と10人でスカスカ。呼び出しが土俵の上を掃き清める回数ばかりが多くなっている」(協会関係者) 両国国技館の電光掲示板には、〈休場〉の欄に16人の四股名が並んだが、「このなかに、ひとりだけ“ドサクサ休場”がいる」と厳しい表情で話すのは、若手親方のひとりだ。「全協会員へのPCR検査で大騒ぎになっていた1月8日に、4場所連続休場(初日からの休場は3場所連続)を明らかにした横綱・鶴竜です。慢性の腰痛を抱えていて、昨年は15日間皆勤したのは3月の春場所だけ。11月場所後には横綱審議委員会(横審)から『引退勧告』の次に重い『注意』の決議を受けていた。 師匠の陸奥親方(元大関・霧島)も、当初は初場所で進退を懸けることになるという認識を見せていたが、フタを開けたら横審の決議をスルーするかたちでの休場です。協会の諮問機関である横審のメンツも丸潰れでしょう」「辞めてもらうしかない」 横綱審議委員会の第14代委員長(2015年1月~2017年1月)を務めた守屋秀繁氏(千葉大名誉教授)はこう憤る。「もう横綱として土俵を務めるのは厳しいのではないか。仮に3月場所に出たとして、3~4日相撲を取って引退宣言せざるを得なくなるでしょう。陸奥親方も、(2019年9月に)亡くなった先代の井筒親方(元関脇・逆鉾)から引き継いだだけで、自らが鶴竜を育てたわけじゃないから、本人が“今場所は(相撲を)取れない”といったら認めるしかないのではないか。親方も大関まで務めたとはいえ、相手は横綱で遠慮があるのだろう。 ただ、横審が『注意』を決議し、“1月場所で結果を出すように”と申し渡したにもかかわらず、鶴竜はそれを先延ばしにしたわけです。本来なら退場ものだ。辞めてもらうしかないと思いますよ。場所後には厳しい決議をするべきだと思います」 成績不振の横綱に対する横審の決議で、「注意」より重いのは「引退勧告」のみだ。過去には暴行事件を起こした朝青龍、日馬富士に対して決議された2例しかない(日馬富士は引退後だったため「引退勧告相当」の決議)。それほどまでに事態を重く見ているということだ。 昨年12月に日本国籍を取得した鶴竜は、引退後に親方として協会に残る道筋が見えている。前出・協会関係者が説明する。「年寄株は亡くなった師匠の遺族から『井筒』を継承する段取りになっている。先代の元関脇・逆鉾が亡くなったあと、旧・井筒部屋の建物は解体されてしまったが、鶴竜が引退してしばらくしたら陸奥部屋から独立して再興するものとみられている。 部屋の立ち上げには億単位の資金が必要だが、タニマチから祝儀が集められる引退相撲がコロナ禍で開催できない状況だけに、少しでも長く現役に残りたいだろう。横綱は休場しても月給300万円で、1場所延命すれば2か月で600万円の収入になる。それだけ国技の最高位には価値があるということだが、休場が続けば批判を受けるのは当然でしょう」※週刊ポスト2021年1月29日号
2021.01.17 16:00
週刊ポスト
白鵬(左)はコロナでいよいよ土俵際、貴景勝(右)は綱取りに追い風(時事)
コロナ白鵬なき初場所の注目は「蒙古騒乱」と「埼玉栄OB会」
 白鵬のコロナ感染が判明して、場所前から波乱を予感させる初場所。休場続きで土俵際の2横綱とカド番の2大関の去就はどうなるのか、そして貴景勝の横綱昇進はあるのか。 貴景勝の横綱昇進のキーとなるのが、貴景勝を頂点とする「埼玉栄グループ」といわれている。番付上位には北勝富士(東前1・埼玉栄→日体大)、大栄翔(西前1)、琴勝峰(東前3)、翔猿(西前7・埼玉栄→日大)、妙義龍(西前9・埼玉栄→日体大)など埼玉栄高校OBが名を連ねており、彼らとの対戦が貴景勝の横綱昇進を左右することになる。「貴景勝は貴乃花部屋の流れをくむガチンコ力士だが、埼玉栄グループは家庭的で結束力は半端じゃない。活躍したOBは古巣に差し入れするのが慣例になっていて、先場所優勝した貴景勝もコメ10俵(600キロ)を贈っており、大胸筋やヒザのケガをした時も埼玉栄のトレーナーを頼っている。OBたちもみんなガチンコだが、これまで豪栄道と貴景勝の2人が大関になったものの、まだ横綱はいない。教え子の横綱誕生が山田道紀・監督の悲願だ。 貴景勝も先輩である豪栄道に対して3勝8敗と歯が立たなかったように、OB同士は正攻法で勝負するため番狂わせが少なく番付通りの対戦成績になりやすい。まして横綱昇進がかかっている貴景勝に対してグループの力士は奇襲や奇策は使わないだろうし、土俵際で、ケガをさせる危険もある逆転の投げを打ったりするかも疑問です」(相撲担当記者) 昇進の条件は2場所連続優勝とハードルは高いが、相撲協会も日本人横綱の誕生に期待を寄せているから、どんなタイミングで難敵と当てるのか、取組にも“配慮”があるのではと注目されている。 一方、ともに3場所連続休場というふがいない状態の2横綱に対しては、昨年の11月場所後に横綱審議委員会から初の「注意」決議が出されている。これは3種類ある決議のなかで2番目に厳しいもので、より厳しい決議は「引退勧告」となる。そうならないためには、初場所では15日間の全勤と2ケタの白星が最低ラインといわれている。コロナ感染の白鵬は3月の春場所に進退をかけることになりそうだが、そもそも協会の覚えが良くないだけに茨の道となる。「連続休場とはいえ4場所前に優勝している白鵬にまで『注意』が出たのは、史上最多の44回優勝という実績も白紙だという協会の強い意思の表われです。今の協会に残ることができるのはイエスマンだけ。優勝インタビューで三本締めや万歳三唱をしたり、審判や横審批判をする白鵬は異端児と見られている。一代年寄が与えられないばかりか、襲名できる年寄名跡がないのもそのため。年寄名跡のメドが立つ、立たないに関わらず、春場所で全勤できなければ引退に追い込まれるのは間違いないだろう」(若手親方) もう一人の横綱・鶴竜の初場所が、白鵬の未来も予言してくれそうだ。鶴竜の前に立ちはだかるのは、それぞれの事情を抱えた3大関のほか、大関返り咲きを狙う高安や御嶽海、北勝富士、琴勝峰、隆の勝、大栄翔、阿武咲といったガチンコの日本人力士たち。そして、さらに高い壁になるのが“身内”であるはずのモンゴル人力士たちだという。「モノゴル人力士にはいくつかのグループがあり、玉鷲のように白鵬グループとは交わらない者もいる。大関復帰の可能性がある照ノ富士は伊勢ケ浜部屋で元横綱・日馬富士の弟弟子だった。かつては白鵬グループの一人として、元横綱・稀勢の里潰しの急先鋒として戦ったこともあるが、2017年の貴ノ岩事件(※日馬富士が貴ノ岩に暴行した事件)で、白鵬の裏切りによって日馬富士が引退に追い込まれたことを契機に、モンゴル人力士の関係が大きく変わってしまった。本来なら白鵬と鶴竜が照ノ富士の大関復帰を全面アシストするところだが、照ノ富士の白鵬憎しは根深く、もはや協力関係は風前の灯火。照ノ富士は両横綱とはガチンコだと見られているし、白鵬と犬猿の仲だった元横綱・朝青龍の甥っ子である豊昇龍もいる。2横綱が休場を繰り返しているうちにモンゴル人力士たちの派閥も大きく様変わりしている」(相撲担当記者) 1月10日から始まる初場所で、もし鶴竜がモンゴル人グループの“反乱”で引退に追い込まれ、貴景勝が優勝して横綱に昇進するようなことがあると、いよいよ角界の勢力図は大きく変わり、大横綱である白鵬も、土俵に上がる前に居場所を失う可能性が出てきた。■取材・文/鵜飼克郎(ジャーナリスト)
2021.01.05 16:00
NEWSポストセブン
白鵬でも6位なら上位は誰なのか(時事通信フォト)
史上最強の横綱1000人アンケート 白鵬6位、双羽黒15位
 長く続いた白鵬一強の時代が終わりを迎えるのか? 世代交代を担う力士は誰なのか? 春場所(3月8日~)に向けて関心が高まる。振り返れば過去の名横綱たちは、同時代のライバルと鎬を削り、突き上げる世代交代の波と戦いながら、最高位にのぼりつめた。ならば“最強の中の最強”は誰か。読者1000人と各界の好角家たちが選んだ。◆直線の柏戸、曲線の大鵬 1位は圧倒的な支持で大鵬。優勝32回(うち全勝8回)、6連覇2回と圧倒的な記録を残した。「巨人、大鵬、卵焼き」と呼ばれた子供の頃の人気者の記憶は、半世紀経っても強く残っているようだ。「少年雑誌の表紙は、ONか大鵬と決まっていた」(65歳自営業) 好角家として知られるコメディアンの大村崑氏(88)も深く頷く。「これまで大勢の力士を見てきましたが、やはり最強は大鵬です。立ち合いでは相手を真っ正面から受け止め、どんな展開になっても負けなかった」 大鵬の連勝記録は歴代4位の45だが、芥川賞作家の高橋三千綱氏(72)は「本当ならもっと連勝していた」と語る。 46連勝が懸かった1969年春場所の戸田との一番。押し込まれた大鵬は、土俵際で際どく突き落とし。軍配は大鵬に上がったが、物言いがつき、行司差し違えで戸田の勝ちに。「しかし、翌日のスポーツ新聞には、戸田の足が先に出ている写真が掲載された。“世紀の大誤審”で、翌場所から判定にあたりビデオが参考にされるようになりました」(前出・高橋氏) 名横綱には必ずライバルがいる。大鵬のライバルといえば柏戸(11位)。元NHKの大相撲実況アナウンサーで、現在は東京相撲記者クラブ会友の杉山邦博氏(89)が言う。「私はラジオ中継で“直線の柏戸、曲線の大鵬”と表現しましたが、土俵の丸みを生かすのが大鵬で、一直線に持っていくのが柏戸だった。全盛期の大鵬戦となると互角以上の勝負をしていました」「柏鵬時代」の後に訪れたのが、玉の海(12位)と北の富士(14位)の「北玉時代」。70年初場所で13勝同士で優勝決定戦に臨んだ2人(優勝は北の富士)は、場所後、揃って横綱に推挙された。「玉の海が横綱になった翌年に急逝した(享年27)ときはショックだった。生きていれば北の富士と長く名勝負を見せてくれたはず」(69歳会社役員) 2人の幕内対戦成績は北の富士の22勝21敗とほぼ互角だった。◆北の湖に勝ち越した輪島「北玉」の後に台頭してきたのが、「憎らしいほど強い」と称された北の湖(3位)だ。1974年7月名古屋場所後に21歳2か月の史上最年少で横綱に昇進し、優勝は24回。「滅多に負けないからこそ、負けた時は盛り上がる。先代の貴ノ花が結びの一番で北の湖を寄り切って初優勝した時は興奮した」(61歳会社員) その北の湖と渡りあったのが、元学生横綱の輪島(9位)。“黄金の左腕”から繰り出される下手投げは強烈で、北の湖に23勝21敗と勝ち越している。 2位になった千代の富士は1981年初場所、優勝決定戦でその北の湖を倒して初優勝。この一番が黄金時代を築くきっかけとなった。「小さな体で大きな北の湖の前まわしに食らいくつ姿は、まさにニックネームの“ウルフ(狼)”そのもの。強引に寄りに出た北の湖を上手出し投げで倒して初優勝した時の、国技館の大歓声はすごかった」(58歳会社員) 抜群のスピードとバネの強さを武器に、全盛期には5年間で優勝20回。53連勝も記録した。 同時代に千代の富士とともに綱を張ったのが、双羽黒(15位)と隆の里(20位)。隆の里は糖尿病と闘いながら、苦労の末に30歳で最高位にまで昇りつめ、苦労人の代名詞ともいえるNHK朝ドラ『おしん』にかけて“おしん横綱”と呼ばれた。 対照的だったのが“新人類”と呼ばれた双羽黒。1986年夏場所の優勝決定戦で千代の富士に敗れたが、優勝経験のないまま横綱に昇進。師匠と大喧嘩して仲裁に入った後援会長とおかみさんにケガを追わせて失踪し、廃業。「2m近い(199cm)の恵まれた体で、精進していたら千代の富士にも負けない大横綱になっていたに違いない」(55歳会社員)◆唯一ランクインした「大関」 千代の富士に引退を決意させたのが、貴乃花(4位)だった。 入幕4場所目の1991年夏場所で初対戦。千代の富士が強引に首を押さえ突き落とそうとしたが、足腰の強さで残した貴乃花(当時貴花田)が体を預ける形で寄り切って初金星を上げた。千代の富士に「体力の限界」と言わしめたのはあまりに有名だ。 貴乃花の前に立ちふさがったのが、ハワイ出身で身長203cm、体重235kgの巨漢力士・曙(13位)。この時代は貴乃花の兄で“若貴フィーバー”を巻き起こした若乃花(三代目、17位)、曙と同じハワイ出身の武蔵丸(19位)の4横綱が鎬を削った。「終盤戦で4横綱が星を潰し合い、大関には貴ノ浪、千代大海、出島がいて、三役常連にも魁皇(16位)、琴錦、武双山、栃東ら実力者がひしめいていた。その中で22回優勝した貴乃花は高く評価できます」(前出・高橋氏) 16位に選ばれた魁皇が横綱になれなかったことが、この時代のレベルの高さを物語る。さらに貴乃花は、世代交代の壁としても立ちはだかった。 飛ぶ鳥を落とす勢いの朝青龍(8位)が新大関となった2002年名古屋場所で横綱・貴乃花と対戦するも、上手投げで完敗。思わず朝青龍が「チクショー!」と叫んだ。貴乃花の引退後、白鵬(6位)、日馬富士、鶴竜らが台頭し、モンゴル時代に突入する。 現役で唯一ランクインした白鵬は優勝43回、幕内通算1053勝など数々の歴代記録を塗り替えている。6位に甘んじたことに料理人の神田川敏郎氏(80)は首を傾げる。「白鵬がナンバーワンであることは、数字が物語っている。なぜこの順位なのか、理解できません」◆大鵬が負けるはずがない さらに時代を遡れば、白鵬がいまだに塗り替えることができない唯一の記録である69連勝を戦前に築いた双葉山(5位)の存在がある。 終戦を挟み、「栃若時代」を築いて戦後の大相撲を支えた、“土俵の鬼”若乃花(初代)が7位、“マムシ”栃錦が10位にランクイン。落語家のヨネスケ氏(71)が懐かしむ。「栃錦のスピードある立ち合いから右上手を取っての出し投げは天下一品だった。一方、若乃花は力業で豪快に相手を投げ飛ばす。街頭テレビから、家庭でテレビが見られるようになった時代で、2人はヒーローだったね」 それぞれの時代を象徴する名横綱たちが、もし時空を超えて戦ったら誰が勝つのか──。NHKが昨年8月に放送した「どすこい!夢の大相撲 令和元年AI場所」は大反響を呼んだ。 日本IBMが開発した「どすこいAI」に現役時代のデータを入力。CGで対戦するという企画で、若乃花(初代)や玉の海ら往年の名横綱が甦り、“大将戦”では大鵬、貴乃花、白鵬の3人が巴戦で激突した。結果は白鵬が2勝、貴乃花が1勝1敗、大鵬は2敗。AIは白鵬が“史上最強”と判断した。 アンケートで白鵬を推した前出・神田川氏は、「白鵬は体がひと回り大きく、パワーに勝る。この結果は順当です」と納得の表情だが、多勢を占めたのは、「大鵬が白鵬に負けるはずがない」という声だ。 同番組に出演していた漫画家のやくみつる氏(60)が語る。「AI相撲では白鵬が左からの突き落としで逆転勝ちしましたが、腰の重い大鵬が土俵際で逆転を食らうはずがない。私が見てきたなかでは最強で、北の湖、千代の富士、貴乃花とやっても大鵬が勝ちますよ」 前出・高橋氏も言う。「大鵬は白鵬のようなカチ上げや張り手を使わず、受けて立つ相撲であれだけ強かった。実際に戦ったら、差し身の早い大鵬が左四つに組み止め、すくい投げか上手投げで決めると思う」 この“最強神話”を超える名横綱は、今後現われるのだろうか。※週刊ポスト2020年3月13日号
2020.03.04 07:00
週刊ポスト
大相撲の意識改革 稽古場からスコップや竹刀が消えた部屋も
大相撲の意識改革 稽古場からスコップや竹刀が消えた部屋も
 付け人への暴力を理由に十両・貴ノ富士が相撲協会から自主引退を促されている問題で、大相撲の世界では相変わらず「暴力」と「イジメ」が繰り返されているのだというイメージが強まったことだろう。だが、最近ではかなり意識が変わってきた面もあるという。「相撲部屋の新弟子といえば、稽古で痛めつけられ、ちゃんこは残り汁で白飯をかきこむだけで、24時間ずっと兄弟子の“パシリ”に徹する生活だったが、だいぶ状況は変わっている」 そう話すのは古参力士のひとりだ。 2017年に横綱・日馬富士(当時)が酒席でモンゴル出身の後輩力士・貴ノ岩をカラオケのリモコンなどで殴る事件が発覚して引退。2007年に時津風部屋で起きた新弟子への集団暴行死事件などから変わらない「角界と暴力」の問題に世間から非難が殺到した。「その結果、親方も問題が発覚すると減給などの処分を免れないから、うちの部屋では最近、“怒るな”“叩くな”“イジメるな”としつこくいわれる。時津風部屋の事件以降は稽古場からスコップや竹刀が消えたが、いまはさらに新弟子を腫れ物に触るように扱い、むしろ中堅の力士が雑用に走り回っているくらい」(同前)※週刊ポスト2019年10月18・25日号
2019.10.08 16:00
週刊ポスト
秋場所11日目、栃ノ心(左)を送り出しで破った貴景勝(写真:時事通信フォト)
貴景勝と栃ノ心、2横綱休場の秋場所で明暗分かれたワケ
 白鵬(宮城野部屋)と鶴竜(井筒部屋)の両横綱が途中休場したことで、賜杯争いが混沌とした大相撲秋場所。そのなかで明暗が分かれた力士がいる。カド番ながら負け越して関脇への陥落が決まった大関の栃ノ心(春日野部屋)と10勝以上をあげたことで大関に返り咲きとなった関脇・貴景勝(千賀ノ浦部屋)である。 貴景勝は中盤で6日目の遠藤(小結、追手風部屋)戦、7日目の千代大龍(前頭5、九重部屋)戦と立て続けに敗れたものの、12日目には早々と10勝をあげて大関復帰を決めた。12勝3敗で本割の土俵を終え、御嶽海(出羽海部屋)との関脇同士の優勝決定戦こそ制することはできなかったが“1場所での大関復帰”を果たした。 一方のカド番大関・栃ノ心は14日目に妙義龍(前頭6、境川部屋)との対戦で土がついて負け越しが決まる。千秋楽の結びの一番では大関・豪栄道(境川部屋)にも敗れて6勝9敗に終わり、“2度目の大関陥落”となった。出羽海一門の若手親方がため息交じりに解説する。「まさしくガチンコ時代を象徴する場所だった。栃ノ心は10日目に5勝5敗と五分の星に戻したあと、貴景勝、御嶽海、竜電(前頭5)、妙義龍、そして大関・豪栄道と対戦している。貴景勝と竜電は二所ノ関一門だが、残りの3人はいつも稽古をしている出羽海一門の力士だった。 優勝争いに絡んでいた御嶽海には敗れたものの、6勝7敗で残り2日となり、14日目、千秋楽は同じ一門の境川部屋の2人との対戦だから勝ち越せるのではないか、とも見られていた。ところが、“大関互助会”が発動する間もなく妙義龍戦で負け、千秋楽を前に大関からの陥落が決定した」 誰にでも加減することなく全力でぶつかっていくガチンコ力士が全盛の時代だからこそ、先の計算が全く立たない終盤戦となったのだ。古参力士のひとりが続ける。「両横綱が途中休場しなければ、違った結果になっていたかもしれない。そもそも、優勝ラインが12勝まで下がらなかっただろうし、とりわけ貴景勝と栃ノ心の明暗は逆転していた可能性がある。両横綱は、同郷の横綱・日馬富士(当時)による暴行事件を徹底的に追及した貴乃花親方とその弟子への反発が強く、特に白鵬は貴景勝との一番は厳しい相撲を取ることで知られている。 実際、貴景勝は白鵬とは過去1勝4敗と分が悪く、鶴竜とも過去1勝3敗と負け越している。今場所は過去3勝6敗の高安も休場するなどして、貴景勝は本来なら対戦しないはずの前頭5枚目の竜電や6枚目の妙義龍あたりとも当たることになった。両横綱が出場していれば、1場所での大関復帰は厳しかったかもしれない」 仮に白鵬、鶴竜、高安の3人が出場していて、貴景勝がその3番を落としていたら9勝止まりで大関復帰に届かなかったわけだ。「逆に、両横綱は同じ外国人力士の栃ノ心に対しては、そこまで厳しい相撲内容にならないことが多い。栃ノ心は鶴竜とは4勝23敗、白鵬とは1勝27敗と分が悪いが、過去、大事なところでは栃ノ心が白星をあげている。栃ノ心が白鵬に対して初めて勝ったのが昨年5月場所の12日目。栃ノ心が大関昇進を決めた場所だった」(同前) 栃ノ心は新大関場所(2018年7月場所)で5勝2敗8休と負け越していきなりカド番となったが、9月場所では白鵬には負けたものの鶴竜に勝って9勝6敗と勝ち越し。陥落危機を脱している。「翌年(2019年)の1月場所は0勝5敗10休で再びカド番となり、3月場所も負け越して大関を陥落している。大関復帰をかけた5月場所は白鵬が全休したが、栃ノ心は14日目に鶴竜に勝って10勝で大関に返り咲いている。ここ一番では横綱に勝って踏みとどまっていたのです」(同前) 今年の3月場所では、千秋楽で当時関脇の貴景勝と、大関だった栃ノ心と対戦。貴景勝は10勝目をあげて大関昇進を決め、栃ノ心は負け越して1度目の大関陥落が決まった。そんな因縁の2人。栃ノ心が10勝をあげての大関復帰を目指す来場所は、どんな戦いを見せるのか。
2019.09.23 07:00
NEWSポストセブン
貴景勝は「横綱になれない」致命的弱点をデータで徹底分析
貴景勝は「横綱になれない」致命的弱点をデータで徹底分析
 令和の幕開けとなる夏場所(5月12日初日)。初土俵から28場所で日本人力士最速の大関昇進を果たした22歳の貴景勝には、早くも「日本人横綱」への期待がかかる。だが、これまでの全取組329番を詳細に分析すると、不安材料も少なくない。「175cm(幕内平均184.7cm)と上背のない貴景勝は立ち合いで下からのぶちかましで相手の体を起こし、休まず攻め続けて圧倒する押し相撲が身上。金星狙いの平幕ならそれでいいが、綱を張るにはどうなのか」 ある若手親方がそう評価するのも無理はない。 貴景勝がこれまで積み上げた213勝のうち、まわしを取る決まり手による白星は十両時代に「寄り切り」(2016年5月場所)と「寄り倒し」(同11月場所)が一番ずつあるだけ。残りの211勝がまわしを取らない決まり手という典型的な突き押し相撲だ。 過去、突き押し相撲を武器に横綱になった力士は存在するが、いずれも四つ相撲でも勝負できた。「八角理事長(元横綱・北勝海)も突き押し相撲で横綱に登り詰めたが、左四つでも強かった。長いリーチで“若貴”を圧倒した曙も、右四つからの上手投げを得意としていたし、強烈な突っ張りがある朝青龍や日馬富士は、離れて速攻でよし、組んでよしの自在の取り口を武器にしていた。 一方、大関で突き押し一辺倒を貫いた力士はいずれも横綱にはなれていない。たとえば、千代大海はカド番14回のワースト記録の保持者で、公傷制度(本場所でケガをした翌場所は休場でも番付が落ちない=現在は廃止)がなければ在位2場所の最短大関になったはずといわれたほど。“せいぜい十両クラス”と言われる貴景勝の四つ相撲が上達しない限り、綱取りは厳しい」(別の若手親方) 組み止められて長い一番になると勝率は極端に下がる。貴景勝の取組時間を分析すると、5秒以内だと勝率64.2%だが、20秒超えでは36.4%だった。四つに組める上位陣にも負けが込みがちだ。 わかりやすいのが先場所11日目の横綱・白鵬との取組だ。頭で当たった貴景勝が何度も突き放そうとするが、白鵬が左右の張り手でしのぎながら右四つに組み止めると、即座に上手投げで仕留められた。白鵬は優勝会見でこの取組にわざわざ触れ、「それなりに四つ相撲も覚えないといけないな」と余裕の“アドバイス”をしてみせた。貴景勝が今後横綱を狙う上での大きな課題なのだ。 ただし、まったく活路がないわけではない。土俵上にも時代の流れがある。幕内の決まり手を見ると平成元年(1989年)は、最も多い「寄り切り」が全体の34.9%、続く「押し出し」が16.9%だったのが、平成30年(昨年)は「押し出し」(25.1%)がトップで、「寄り切り」(23.9%)を上回っている。「力士の大型化もあって、御嶽海、北勝富士ら突き押し相撲の上位力士が増えた。小兵ではあるが、貴景勝の今後は“平成までの常識”だけでは見通せないでしょう」(協会関係者) 前例を覆して“新常識”を作り出す日本人横綱の誕生をファンは待ち望んでいる。※週刊ポスト2019年5月17・24日号
2019.05.07 11:00
週刊ポスト
この年の6月、上野動物園でシャンシャンが誕生した(時事通信社)
このハゲー! 森友学園、座間9人殺害 平成29年を振り返る
 いよいよ5月に迫った令和の時代。平成とはどんな時代だったのか? 平成29年の出来事をプレイバック! 天皇陛下退位を認める特例法案が成立。皇位継承の儀式や改元へと向けた準備が進められることとなったこの年。 国会では、学校法人『森友学園』への国有地格安売却と『加計学園』の獣医学部新設をめぐった安倍晋三首相と昭恵夫人らの関与が疑惑を呼んだ。 また、「このハゲーーー!」等の元秘書に対する暴言がスキャンダルとなったのは、豊田真由子議員。10月の衆議院議員総選挙に無所属出馬で落選するも、第18回『ビートたけしのエンターテインメント賞』の話題賞を受賞。 スポーツ界ではフィギュアスケートの浅田真央が4月10日、ブログで引退発表。12日の記者会見では報道陣約400名を前に、笑顔で「何もやり残したことはない」と26年間の現役生活を振り返った。その瞳に溢れる涙は、カメラマンらを背にした時にそっとぬぐった。 日本人初の9秒台をマークしたのは陸上男子の桐生祥秀選手。福井・福井市で行われた日本学生陸上競技対校選手権 100m決勝で「10秒の壁」を突破。 戦慄の事件では神奈川・座間市のアパートで起きた「座間9人切断遺体事件」。部屋にあったクーラーボックスから女子高生3人、男性1人、女性5人の切断遺体が発見された。逮捕された白石隆浩被告は、本誌・女性セブン取材に応じた際、「もし戻れるなら高校を卒業して、スーパーのベーカリー部門で働き始めた頃に戻ってやり直したい」と、淡々と語った。 芸能界では未成年者との飲酒と不適切行為で無期限活動停止となった小出恵介。現在は単身でニューヨークに渡り、自らエージェントと契約。語学学校に通う日々だという。 ヒット商品では『ハンドスピナー』、また、デビュー25周年を迎え、翌年9月の引退発表をした安室奈美恵のアルバム『Finally』が約200万枚突破。 この年の流行語には、「インスタ映え」、「忖度」など。■平成29年の主な出来事2月13日 マレーシア・クアラルンプール国際空港で金正男氏(享年45)が毒殺される2月24日 『プレミアムフライデー』がスタート4月8日 愛子内親王が学習院女子高等科にご入学4月12日 フィギュアスケートの浅田真央選手が引退会見6月8日 小出恵介が未成年者と飲酒発覚などにより無期限活動停止6月12日 恩賜上野動物園でジャイアントパンダのシャンシャンが誕生6月26日 将棋の最年少プロ棋士・藤井聡太四段が29連勝で新記録達成7月5日 九州北部豪雨が発生。死者40人、行方不明者2人9月3日 秋篠宮眞子さまが婚約内定の発表記者会見9月19日 豊田真由子議員が元秘書への暴言を会見で謝罪10月31日 神奈川・座間市の9人切断遺体事件で27才男性を逮捕11月5日 米国・トランプ大統領が初来日11月11日 大相撲の横綱・日馬富士の貴ノ岩への暴行が発覚12月1日 天皇陛下の退位日が2019年4月30日に決定。皇太子さまの即位を翌5月1日とし、新年号施行と発表※女性セブン2019年4月18日号
2019.04.10 16:00
女性セブン
河野景子「告白本」に憲子氏、美恵子氏、貴ノ岩の名前なし
河野景子「告白本」に憲子氏、美恵子氏、貴ノ岩の名前なし
「何もかもが限界でした」──元横綱・貴乃花との離婚の真相を初めて明かした河野景子氏の著書『こころの真実』がワイドショーを賑わしている中、「あえて書かない選択をした事柄もあります。これは自分の心の中に秘めておこうということもありますので」(夕刊フジ3月7日付)という意味深な物言いが、相撲関係者の間でさまざまな憶測を呼んでいる。 長く貴乃花部屋を取材してきた相撲ライターが言う。「この本には、なぜこの人が出てこないんだろう、という不可解な点が多い。義父である先代の二子山親方の死を〈一番苦しかった〉出来事と悼んでいるのに、義母の(藤田)憲子さんについては一切言及がありません。義兄の若乃花(花田虎上氏)についても軽く触れられる程度で、義姉だった美恵子さんは名前すら出てこない。一時は同じマンションに住んでいた時期もあったのに……」 弟子たちへの言及も同様だ。「貴景勝の優勝に〈涙が溢れてきました〉と書く一方、“日本での母親”として可愛がっていた貴ノ岩は一度も登場しない。付け人への暴行事件のあと、『目の前が真っ暗になってしまった』と語っていましたから、思い出したくなかったんでしょうか。貴乃花親方が角界を去ることになる一連の騒動は、日馬富士による貴ノ岩への暴行事件から始まったわけですから、何も触れないのも不自然だと思うのですが……」(同前) 発売日には、自身のブログで〈私の23年間を振り返り、私の心にあった「真実」を正直に綴ってみました〉と記していたが、書かれないところにこそ、「こころの真実」があるのかもしれない。※週刊ポスト2019年3月22日号
2019.03.10 16:00
週刊ポスト
モンゴル出身玉鷲、日馬富士暴行騒動回避の理由は綾瀬はるか
モンゴル出身玉鷲、日馬富士暴行騒動回避の理由は綾瀬はるか
 22歳の新星・貴景勝(関脇)との優勝争いの末、賜杯を手にしたのはモンゴル出身の関脇・玉鷲──その結果に「またモンゴル勢の天下か……」と考えるのは、ちょっと違う。 34歳にして初場所で初優勝を果たした玉鷲は、“異色のモンゴル力士”だ。 もともと母国でホテルマンになる勉強をしていたが、19歳の時、東大に留学していた姉を訪ねて来日し、幕下時代の現横綱・鶴竜と出会って相撲に興味を持ったという経歴の持ち主。モンゴル相撲の経験もない。「モンゴル勢は部屋を超えた交流があるが、朝青龍が引退して白鵬(横綱)が中心になってから、一線を画す力士が出てきた。その代表格が玉鷲や、付け人への暴力が発覚して初場所前に引退した貴ノ岩でした。先輩たちにもガチンコでぶつかっていく」(若手親方) 一昨年10月に巡業中の鳥取で起きた横綱・日馬富士(当時)による貴ノ岩への暴力事件も、「白鵬らが生意気な後輩を糾弾する場だった」(同前)とされている。この“鳥取事件”の日は、玉鷲も声をかけられていたが、「楽しみにしている綾瀬はるか主演のドラマ『奥様は、取り扱い注意』が見たい」という理由で欠席し、難を逃れた経緯もある。 初場所では、玉鷲が白鵬との直接対決に勝利。「モンゴル人グループの崩壊」(ベテラン記者)と評された。 序ノ口デビューから1151日休場なしという現役最長記録の更新を続ける玉鷲。大関獲りとなる春場所では白鵬、鶴竜、逸ノ城ら上位のモンゴル勢とどんな相撲を取るのか。“モンゴルガチンコ時代”の到来だ。※週刊ポスト2019年2月15・22日号
2019.02.07 07:00
週刊ポスト
引退の稀勢の里、初場所後に見せた笑顔と後援会長の期待
引退の稀勢の里、初場所後に見せた笑顔と後援会長の期待
 日本中の期待を一身に背負った元横綱・稀勢の里。その重圧はどれほどのものだっただろう。声援に応えるため、けがをかばいながら上り続けた土俵からついに降りる決意をした。激動の15日間を終えたとき、無口で愚直な男が見せたのはやさしい笑顔だった──。◆部屋のため、協会のために尽力する それが親方としての仕事「稀勢の里改め、荒磯と申します」。千秋楽の夜、新米親方は、ひと言、ひと言、言葉をかみしめるように話し始めた。 再起を懸けて挑んだ大相撲初場所(1月13日~27日)で初日から3連敗を喫し、引退を決断した元横綱・稀勢の里。 涙の引退会見の翌日には、事務手続きなどのため、両国国技館を訪れ、荒磯親方として親方デビュー。館内を歩いて回ると、たくさんのファンからは労いと感謝の言葉がかけられた。 迎えた千秋楽。稀勢の里は、国技館を出ると、都内ホテルにて行われた「田子ノ浦部屋千秋楽祝賀会」へ向かう。 冒頭のように、約500名の後援者を前に挨拶。「これからは後進の指導にあたり、田子ノ浦部屋のため、そして日本相撲協会のため、尽力していきたいと思います」と語ると、側で聞いていた大関・高安は思わず涙を…。「(稀勢の里に)今まで教わったこと、相撲の姿勢、志を引き継いで、相撲道に精進していきたいと思います」 目頭を押さえながら決意を述べる高安の姿に、会場の後援者たちももらい泣き。 挨拶を終えると、稀勢の里は各テーブルをひとつひとつていねいに回り、後援者に謝辞を述べ、その後は2ショットの撮影会に。「勝っても負けても表情に出すな」という先代師匠(故・鳴戸親方)の教えを愚直に守り、“仏頂面が特徴”とまでいわれた稀勢の里だが、この日、集まってくれた後援者たちに見せたのはリラックスした笑顔。ファンを大切にしてきた稀勢の里らしさが随所に出る温かな会となった。◆彼自身の努力でステップを重ねてきたこと それは今後の人生にもプラスになる 15才で鳴戸部屋に入門し、幕内までは異例のスピード出世を見せたが、大関昇進は25才。2017年初場所で初優勝し、春場所で待望の“和製横綱”となったのは30才だった。その春場所の、横綱・日馬富士戦で負傷すると、その後は休場続きとなってしまった。在位中の勝率は5割、8場所連続休場など、横綱としては不本意だったかもしれない。けれども、最後まで横綱として土俵を務め上げた稀勢の里は、間違いなく「日本が誇る横綱」であった。 稀勢の里を見守り、力強く応援し、支えてきた田子ノ浦部屋後援会会長の長谷川裕一さんは、こう期待を寄せる。「大関から横綱になるまで、時間がかかった。けれども、彼自身の努力でそのステップを踏めたことは、今後の人生にプラスになるはず。その経験は指導者としても生きてくるだろう」 荒磯親方として、稀勢の里の「第二の人生」はまだ始まったばかり。断髪式は9月29日、両国国技館で行われることも決まった。相撲を愛し、相撲に愛された横綱が新たな日本人横綱を生み、相撲界を盛り立てる様子に、これからも注目したい。※女性セブン2019年2月14日号
2019.02.02 07:00
女性セブン
日本相撲協会と横審は稀勢の里を身勝手・露骨に延命させた
日本相撲協会と横審は稀勢の里を身勝手・露骨に延命させた
「土俵人生において一片の悔いもございません」──会見で絞り出したその言葉は、横綱・稀勢の里の真意だったのだろうか。常に周囲の打算や思惑に翻弄され続けた日々だった。2017年1月、日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会は、わずか15分の審議で、稀勢の里の横綱昇進を決めた。「重圧に弱く、横綱に勝ちながら、平幕相手に油断する癖がある」 そう認識されていた稀勢の里は、「過去2場所の連続優勝」という条件は満たしておらず、「それに準ずる成績」として昇進した。「協会は是が非でも日本人横綱が欲しかった。そのために横審に対して、稀勢の里の直近6場所の成績を、朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜の昇進前6場所の資料と合わせて提示するという“特別扱い”で後押ししました」(協会関係者) 八角理事長(元横綱・北勝海)は「過去1年の成績を見て、安定感が一目瞭然で、委員の皆さんも驚いていた」と露骨に喜ぶコメントまでしている。 昇進の基準が甘すぎるという声はあった。しかし、協会にとっては雑音でしかなかっただろう。稀勢の里が新横綱として臨んだ2017年3月場所は、前売りチケットがわずか2時間半で完売し、かつての「若貴フィーバー」に匹敵する相撲ブームが到来した。「特別扱いして横綱に押し上げた協会ですら、ここまでの盛り上がりは予想していなかった。異常なほどの過熱ぶりに、今度は1日でも長く稀勢の里に横綱でいてもらえるよう動き始めた。不甲斐ない取組で、通常なら進退伺いとなる状況でも擁護。露骨な延命が見られるようになった」(同前) 毎回のように、場所前の稽古を評して、同じ二所ノ関一門で協会ナンバー2の尾車親方(元大関・琴風)が、「良さそうだね。前回よりずっと戻ってきている」 などとリップサービスするのが恒例化したのはそのためだ。それがまた「実際に本場所が始まると勝てない」こととのギャップを際立たせることになった。それでもなお、稀勢の里に頼った背景には、2017年10月に起きた元・日馬富士による暴行事件もあった。「後に天覧相撲も辞退せざるを得なくなるほどの不祥事に、協会はブームが終わってしまうと危機感を覚えた。その上、日本人横綱がいなくなるとなれば、人気は地に落ちかねない。どんどん稀勢の里を守る方向へと傾いていった」(同前) その一方で、本気で稀勢の里を評価しているわけではなかったことも窺える。「昨年9月場所の初日に、稀勢の里は237日ぶりの勝利を挙げましたが、その翌日、協会広報部から大手メディアで作られる記者クラブ相手に、“稀勢の里が引退した場合、翌日に正式に通達する。引退会見は国技館の大広間になると思う”と説明があったのです」(スポーツ紙デスク) 協会は当時、本誌の取材に対して“幻の引退会見”を否定したが、場所前には広報部長の芝田山親方(元横綱・大乃国)の「広報部としては(稀勢の里の)万が一に傾いている」という発言が報じられた事実もある。 結局、誰も稀勢の里を信じていなかったのだとすれば、あまりに悲しい。※週刊ポスト2019年2月1日号
2019.01.23 07:00
週刊ポスト
稀勢の里にモンゴル勢の罠、横綱昇進の瞬間から悲劇が発生
稀勢の里にモンゴル勢の罠、横綱昇進の瞬間から悲劇が発生
 2017年1月に19年ぶりに誕生した日本出身力士の横綱・稀勢の里。しかし、その昇進の瞬間から、悲劇は始まっていた。その結果、8場所連続休場や、場所をまたいでの8連敗など、数々の不名誉な記録を残しての引退へ繋がったのだ。 2014年5月に鶴竜が昇進して以降、白鵬と日馬富士によるモンゴル3横綱時代が2年以上も続いていた。「3人のうち、中盤戦までに星の取りこぼしがなかった横綱が優勝をさらうパターンが続きました。そんな状況に割って入ろうとしたのが稀勢の里でした」(相撲担当記者) ただ、牙城を崩すのはそう簡単ではなかった。「2017年初場所14日目に稀勢の里は初優勝を決め、翌日の千秋楽の結びの一番が白鵬戦だった。この時、親方衆の間で話題になったのが、白鵬が取組前の支度部屋で、“左四つ”になる立ち合いの稽古を繰り返していたこと。 左四つは稀勢の里が得意なかたちで、白鵬は本来、右四つ。“稀勢の里が得意なかたちから圧勝し、力の差を見せつけよう”と考えたのではないか。結果は、稀勢の里がすくい投げで勝つ一番となったが、白鵬が相手をとことん敵視していることがよくわかった。場所後に稀勢の里が綱を張ったことで、モンゴル勢にそれまでの安定した体制を維持したいという発想が生まれるのは自然なこと。“稀勢の里を潰せ!”とばかりに全力で向かっていった」(同前) その洗礼を、新横綱として迎えた2017年3月場所でいきなり受ける。 13日目に対戦した日馬富士に土俵下まで転落させられる寄り倒しで敗れ、稀勢の里は左肩と胸を強打。苦悶の表情を浮かべた。“得意の左”がこれ以降、万全な形で繰り出されることはなかった。 その後、ケガを抱えながらの戦いのなかでも、モンゴル横綱たちの動きに翻弄された。 昨年の11月場所、稀勢の里は初日から4連敗した。1場所15日制が定着した1949年の7月場所以降では、横綱としては初めてのことだった。「稀勢の里は初日の取組で膝を痛め、本来ならその段階で休場ということも考えられたが、場所前に白鵬と鶴竜のモンゴル横綱2人が“稀勢の里が出るならいいじゃないか”とばかりに早々に休場を決めており、“1人横綱”だった。元来の真面目な性格もあり、“相撲ファンのためには休めない”と無理したことが不名誉な記録につながってしまった」(同前) 横綱としてワーストとなる8連敗には、この4連敗も含まれる。※週刊ポスト2019年2月1日号
2019.01.21 07:00
週刊ポスト

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