1年分の収支報告書の入力はAIを使用すれば一晩で完成するという
選挙の時の「情報源」にしてほしい
──どうしてこの取り組みを始めたんですか。
「精度が上がってきたAIを使ってみたい、ということが第一ですね。私はITエンジニアですから、自分でも何か面白いことができないかという好奇心がありました。少し前まではAIがつくる絵は人間から見て違和感があるもので、“不気味の壁”と呼ばれてきましたが、この数年で壁はどんどんなくなってきた。
いろいろ考えているなかで政治資金収支報告書に着目しました。人並みには政治への関心がありましたから。こんなに重要なことが書かれているのに、上手く活かされていないと感じました」
──あらためて政治資金の透明化に注目が集まっています。
「今は本業が忙しく限界がありますが、時間を見つけてデジタル化を続けたいと思っています。現状では政党本部を扱っていますが、政治の内情をチェックするには、そうした“上流”からお金を受け取って活動している“下流”の政治家個人の資金を見るべきじゃないかと感じています。
政治家個人が地元でどんな相手と取引して、どういう相手とつながりが強いのか。この政治家はどんな人の声を体現しているのかが見える化できれば、選挙の時に有権者に参考にしてもらう情報源の1つになれるかもしれない。
それに、企業でいう連結決算のようなもの出してみたいですね。企業ならグループ企業とまとめて決算処理をすることで全体の収支が明確化されます。政党の上流から下流までをまとめた連結決算があれば政治活動はよりわかりやすくなる。そこが最終目標です」
小林氏の取り組みは全くのボランティアだという。AIが、政治を刷新する有力な武器になるかもしれない。