年間行事として紹介されている写経(公式 YouTubeより)
そんな清風で高校2年生だったA君(当時17歳)が自ら命を絶ったのは2021年12月8日だった。
「訴状によると、12月6日、2学期の倫理政経の期末試験でA君はカンニングをしてしまいました。その理由として、担当教師から理不尽な叱責を受けていたことから、A君は強いプレッシャーを感じ、試験で低い点をとることに恐怖感を抱いていたといいます。そして、試験の監督が気付いて、A君を別室に連れて行きました。呼び出された母親が到着するまで、A君は複数人の男性教師に叱責され、反省文を作成していました」(同記者)
母親が到着すると、学園長室に移動したという。そこでも、男性教師5人に囲まれ、母親もA君も涙を流してしまうような圧迫的な環境だった。
「『カンニングがなぜ悪いことか』と問われるとA君は『ずるいことをした』と答えました。しかしその回答に満足しなかった教師のひとりは『卑怯者』という言葉を繰り返した。そしてA君に『卑怯者です』としゃべらせたんです。
清風は朝礼で『カンニングは卑怯者がすることだ』という訓話を常日頃していました。A君にもそれが強くすり込まれていたことに加え、実際にカンニングをしてしまい、教師に直接言われたことで深刻に捉えたのは事実だと思います」(同記者)
カンニングについての処分も言い渡された。
・全科目0点
・家庭謹慎8日
・写経80巻
・反省文作成
・反省日誌
・心得書写
・学校推薦は行わない
「カンニングでは謹慎処分にならない高校も多いかと思いますが、清風は厳しい処分としました。特に写経80巻は1巻1時間だとしても80時間かかります。これを8日以内にやらないといけなかった。大量の単純作業がA君の心理状態を追い込むものだったと遺族側は主張しています。
A君はカンニング当日の12月6日に写経の1巻目を送り、翌7日も遅くまで、写経に取り組んでいる姿を母親は目撃していました」(同記者)
遺書には「死ぬという恐怖よりも、このまま周りから卑怯者と思われながら生きていく方が怖くなってしまいました」などと書かれていたという。
学校側はA君の自死について第三者委員会による調査を行ったが、報告書では他にもカンニングした生徒がいて普通に学校生活を送っていたことから指導と自殺の因果関係を否定したという。
A君の心に深く刺さった「卑怯者」という言葉。裁判所はどのように判断するのだろうか。